ワインに詳しくになろう
フェニキア人の船が紀元前9世紀にシチリアの港へ錨を下ろした時、彼らは交易品と共にある植物を運んできた。ヴィティス・ヴィニフェラ、後に世界中で栽培されることになる葡萄の木だ。やがてギリシャ人が南イタリア・シチリア全域に植民地群「マグナ・グラエキア(大ギリシャ)」を築き、この地を「オイノトリア(Oenotria)=ワインの地」と呼んだ。数千年の時を経て、地中海沿岸は今も世界最高峰のワイン産地として輝いている。 地中海ワインとは何か、どの産地がどんな個性を持つのか、そして日本にいながらそのエッセンスを楽しむ方法を、ソムリエとして地中海のワイン産地を長年研究してきた私フェデリーコが解説する。 地中海ワインとは 「地中海ワイン」とは、地中海性気候(夏の乾燥・高温、冬の温暖・適度な降雨)の恩恵を受ける産地で造られるワインの総称だ。イタリア南部・シチリア・サルデーニャ、スペイン東部・南部、ギリシャ全土、クロアチア沿岸、南フランス(プロヴァンス・ラングドック)、ポルトガル、そして北アフリカのモロッコ・チュニジアまで広がる。 この気候帯がブドウ栽培に理想的な理由は三つある。夏の十分な日照がブドウを完熟させること、乾燥が病害を抑えること、そして昼夜の寒暖差が香りと酸味の繊細さを保つことだ。 特に注目したいのがイタリア南部と地中海諸島だ。国全体で約350種の固有品種を誇るイタリアだが、南方に絞るとネロ・ダーヴォラ(シチリア)、プリミティーヴォ(プーリア)、カンノナウ(サルデーニャ)など、他の産地では栽培されない個性的な品種が集中している。 主要産地ガイド 産地 主な白品種 主な赤品種 スタイルの特徴 シチリア(伊) インゾーリア、グリッロ、カタラット ネロ・ダーヴォラ、ネレッロ・マスカレーゼ 火山土壌と海風、古代品種の宝庫。果実味豊かでミネラル感も強い...