バローロやバルバレスコの陰に隠れがちですが、ピエモンテで最も多く栽培されているブドウはバルベーラです。フェデリーコです。モンフェッラートの丘で地元のオステリアに入ると、テーブルには必ずバルベーラの水差しが置かれていました。「バローロは特別な日に、バルベーラは毎日」——これがピエモンテの人々の感覚です。
バルベーラとはどんなブドウか
バルベーラ(Barbera)はイタリア・ピエモンテ州を原産とする黒ブドウ品種です。生産量ではイタリア全体で3位に入るほど広く栽培されていますが、その中心はアスティとアルバの二つのDOCGです。特徴は鮮やかな赤紫色と豊かな果実味(チェリー・ブラックベリー)、明るい酸味、そして低いタンニン。タンニンが少ないため若いうちから飲みやすく、料理を選ばない万能型として知られています。
バルベーラ・ダスティとバルベーラ・ダルバの違い
二つのDOCGは隣接していますが、スタイルに違いがあります。バルベーラ・ダスティ(Barbera d'Asti DOCG)はよりフルーティで親しみやすいスタイル。バルベーラ・ダルバ(Barbera d'Alba DOC)は少しより重厚で複雑味があり、オーク樽熟成のものも多い。どちらも酸が際立ち食事との相性が抜群ですが、初心者にはダスティの方が入りやすいかもしれません。
産地で変わるスタイル
ピエモンテ州アスティ周辺のモンフェッラートでは、毎冬「バーニャ・カウダ・デイ(Bagna Cauda Day)」が開催されます。バーニャ・カウダとは、ニンニクとアンチョビをバターとオリーブオイルで煮溶かした温かいディップソース。生野菜やカルドーン(アザミの一種)を浸しながら食べる、ピエモンテの冬の味覚です。地元のオステリアでは、このバーニャ・カウダに必ずバルベーラ・ダスティを合わせます。ニンニクとアンチョビの強烈な旨味をバルベーラの明るい酸と果実味が包み込む組み合わせは、日本ではほとんど知られていませんが、ピエモンテでは毎冬当たり前の食の風景です。2013年に始まったバーニャ・カウダ・デイは今や1万人以上が参加する一大イベントに成長しています。
SWIRLのおすすめ
バルベーラの豊かな果実味と明るい酸に近いキャラクターを、南イタリアから体験したい方にはドッピオ・パッソ プリミティーヴォをおすすめします。プーリア州の太陽を凝縮したプリミティーヴォは、バルベーラと同じく果実主体でタンニン穏やか、食事と合わせやすい南イタリアの「日常ワイン」です。チェリーやプラムの果実味、スパイシーなアクセントがピザやパスタ、そして焼いた肉全般と好相性です。
日本での楽しみ方
バルベーラは輸入ワインショップやイタリアンレストランで出会える機会が増えています。価格は2,000〜5,000円台が中心で、手頃なデイリーワインとして最適です。飲み頃温度は15〜17℃。煮込み料理(ビーフシチュー、すき焼き)、ピザ、チーズバーガーまで、驚くほど多くの料理に合います。また、プリミティーヴォとバルベーラを並べて飲み比べると、南北イタリアの個性の違いが鮮明に浮かび上がってとても楽しいです。
まとめ
バローロの陰に隠れてきたバルベーラですが、その「毎日飲める」親しみやすさはピエモンテで何世代も愛されてきた理由そのものです。アスティのバーニャ・カウダ・デイが証明するように、バルベーラはイタリアの食卓と切り離せない存在。ぜひ気軽な日常の食事に合わせて試してみてください。


コメント (0)
この記事に対するコメントはありません。真っ先にメッセージを残してください!