バローロとは、イタリア北西部ピエモンテ州ランゲ地区で、ネッビオーロ100%からつくられる赤ワインです。「イタリアワインの王」と称される、長い熟成を経て出荷される長命で気高い銘醸ワインで、イタリア最高峰の格付けDOCGに認められています。ピエモンテのワインを長く扱ってきた私たちSWIRLが、その歴史から味わい、「バローロ・ボーイズ」と呼ばれた革命、日本での愛され方、そしておすすめの一本まで、バローロの魅力をまとめてご紹介します。
バローロの歴史:「王のワイン、ワインの王」
19世紀の前半まで、ネッビオーロは甘口や微発泡に造られることも多いブドウでした。流れを変えたのが、バローロ侯爵夫人ジュリア・ファッレッティ(フランスの名家コルベール家の出身)です。1830年代、彼女はフランス人醸造家ルイ・ウダールを招き、糖をすべて発酵させきる手法で、辛口の力強い赤へと磨き上げました。これが今日のバローロの原型です。イタリア統一の立役者カヴール伯爵も、自らのグリンザーネの所領で同じ改革に取り組みました。やがてバローロはサヴォイア王家の宮廷で愛され、「ワインの王であり、王のワイン(イタリア語で re dei vini, vino dei re)」と呼ばれるようになったのです。
バローロの味わいは?
ガーネットがかった淡い色合いに、バラやスミレ、ドライフルーツ、スパイス、なめし革の複雑な香り。力強いタンニンと高い酸が、何年もかけてゆっくりと優雅にひらいていきます。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| ボディ | しっかり |
| 酸味 | 高め |
| 渋み(タンニン) | 高め(熟成でまろやかに) |
| 味わい | 辛口 |
| 飲み頃温度 | 16〜18℃ |
「バローロ・ボーイズ」:ランゲを変えた革命
1980〜90年代、ランゲの若い造り手たちがバローロのつくり方を大胆に変えました。醸し(果皮との接触)を短くし、収量を抑え、フランス産の小さな樽「バリック」を導入し、さらに畑=「クリュ」ごとに分けて単一畑のバローロを瓶詰めしたのです。彼らのワインは色濃く果実味ゆたかで、若いうちから楽しめ、アメリカ市場を一気に席巻しました。ニューヨーク・タイムズは彼らを「バローロ・ボーイズ」と呼びます。
この革命は、大樽(ボッテ)で長期熟成を守る「伝統派」との激しい論争を生み、産地を二分しました。2014年のドキュメンタリー映画『バローロ・ボーイズ:革命の物語(Barolo Boys: The Story of a Revolution)』は、その熱狂と対立、そして和解までを描き、バローロの名を世界の食卓に広めた一本です。今日では近代派と伝統派はおだやかに共存し、ランゲ全体の品質が底上げされました。2014年にはこの丘そのものがユネスコ世界遺産に登録され、単一畑(MGA)を大切にする文化も根づいています。私フェデリーコがランゲを訪ねると、今も造り手ごとに樽づかいの哲学がまるで違い、その対話こそがバローロのいちばんの面白さだと感じます。
バローロに合う料理は?
赤身肉のローストや煮込み、ジビエ、熟成チーズ、トリュフ料理など、しっかりした料理と。地元ピエモンテでは、バローロで牛肉をことこと煮込む「ブラザート・アル・バローロ」が定番です。特別な日のごちそうに寄り添う一本です。
日本とバローロ:愛されるイタリアの王
日本には、およそ1万2千軒ものイタリア料理店があると言われ、その多くを日本人のシェフが営んでいます。1990年代の「イタめし」ブーム以来、本格的なイタリアワインは身近な憧れとなり、なかでもバローロは、記念日や特別な夜を彩る一本として、街のトラットリアやオステリアのワインリストに欠かせない存在になりました。
ネッビオーロは、日本のワイン愛好家にとって最も愛される品種のひとつです。淡い色からは想像できない奥行きと、出汁や旨みにも通じる繊細な香りが、日本の味覚と深く響き合うのだと思います。私たちSWIRLにも、「特別な日のバローロ」を探して来てくださるお客様が本当に多くいらっしゃいます。近年はランゲと日本の造り手の交流も進み、この銘醸地はますます身近になっています。
なぜ高い?バローロが特別な理由
バローロを名乗れるのは、限られた11の村の丘でつくられたワインだけ。厳しい基準に加え、出荷までに最低38か月(うち18か月以上は木樽)、リゼルヴァは62か月という長い熟成が義務づけられています。生産量はおのずと限られ、しかも瓶の中で何年も魅力を増していく長期熟成型。これが、バローロが特別で、価格にも見合う理由です。
SWIRLのおすすめバローロ
セッラルンガ村のバローロ、リヴェットのバローロ・デル・コムーネ・ディ・セッラルンガ。王のワインの気高さを、力強くも端正なセッラルンガのスタイルで味わえる一本です。
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バローロ・デル・コムーネ・ディ・セッラルンガ 2019/バローロ DOCG/ネッビオーロ100%(リヴェット、セッラルンガ) ガーネット色に、バラやドライフルーツ、なめし革の複雑な香り。気高いタンニンと長い余韻。力強くも端正な、セッラルンガらしいバローロです。 ¥12,100(税込) 購入する |
品種そのものを知りたい方はネッビオーロとは?もどうぞ。
ランゲの秋の食卓:タヤリンと白トリュフとバローロ
毎年10月、ランゲの丘が秋霧(ネッビア)に包まれると、アルバの街では1929年から続くアルバ国際白トリュフ祭(フィエラ・インテルナツィオナーレ・デル・タルトゥーフォ・ビアンコ・ダルバ)が開かれます。日本では高級食材として知られる白トリュフですが、この地の人々にとっては毎年の秋の楽しみです。
この季節のランゲの食卓には、必ず「タヤリン(tajarin)」があります。アルバ周辺に伝わる手打ちパスタで、1kgの粉に対して卵黄を20〜30個も使うのが特徴(通常のパスタの5〜10倍)。2〜3mmに細く切った鮮やかな黄色の麺を、溶かしバターで和えて、その上から白トリュフをひと削り。週末のオステリアでも、家庭の日曜昼食でも、地元の人々はこの一皿に手持ちのバローロを開けます。
霧(ネッビア)から名前をとったネッビオーロが熟す季節に、同じ霧の下でトリュフが育ち、同じ丘の食卓でタヤリンと出会う。ランゲのテロワールはそういうかたちで皿の上に乗っています。
よくある質問
Q. バローロはどのブドウから?
A. ネッビオーロ100%です。
Q. デカンタは必要?
A. 若いヴィンテージは早めにデカンタすると香りが開きます。
Q. 飲み頃温度は?
A. 16〜18℃で、大きめのグラスで。
Q. 近代派と伝統派、どちらを選べばいい?
A. 果実味ゆたかで若くても親しみやすいのが近代派、伝統的な香りと繊細さを長くたのしめるのが伝統派。どちらが上ということはなく、好みと料理で選んでください。
Q. どのくらい熟成させられる?
A. 出荷時点ですでに飲み頃に入りますが、よいヴィンテージは10〜20年以上の熟成にも耐えます。若いうちはデカンタすると早く開きます。
Q. バローロとバルバレスコの違いは何ですか?
A. どちらもネッビオーロ100%のDOCGワインで、「ワインの王」対「ワインの女王」と並び称されます。産地はバローロが11の村(ランゲ南西部)、バルバレスコがアルバ北東の3村。法定熟成期間はバローロが38か月以上(うち木樽18か月)、バルバレスコが26か月以上(うち木樽9か月)で、バルバレスコは比較的早くひらく傾向があります。どちらが上ということはなく、料理と好みで選んでください。
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