ボルゲリ、テヌータ・サン・グイドのブドウ畑

サッシカイア完全ガイド|スーパートスカンの伝説、その歴史と最新2022年ヴィンテージ

2026年6月13日SWIRL ワインチームコメント0件

イタリアワインの歴史を一本で変えてしまったワインがあります。トスカーナ州ボルゲリの「サッシカイア(Sassicaia)」。「スーパートスカン」という言葉を生み、イタリアのワイン法までも書き換えさせた伝説の一本です。本記事ではその誕生の物語から、いま日本で手に入る最新ヴィンテージの評価までを詳しくご紹介します。

侯爵の夢から始まった物語

物語の主人公は、マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵。ボルドーの偉大なワインに魅せられた侯爵は、1940年代、妻クラリーチェの嫁ぎ先であるボルゲリのテヌータ・サン・グイドに、当時のイタリアでは異端中の異端であったカベルネ・ソーヴィニヨンを植えました。畑の名は「サッシカイア」、トスカーナ方言で「石ころだらけの土地」を意味します。ボルドー・グラーヴ地区に似た砂利質土壌が、侯爵にこの地を選ばせたのです。

当初このワインは市場に出ることなく、20年以上にわたり一族と友人だけが楽しむプライベートワインでした。熟成とともに驚くほど化けるその実力に周囲が気づき、ついに1968年ヴィンテージ(1971年リリース)で初めて商業販売されます。

イタリアワイン法を変えた「テーブルワイン」

転機は名門アンティノリ家との縁戚関係から訪れます。アンティノリの天才醸造家ジャコモ・タキスが醸造に参画し、品質は飛躍的に向上。1978年、英国『デカンター』誌のブラインドテイスティングで、世界中のカベルネ33本の頂点に立ち、サッシカイアの名は一夜にして世界に轟きました。

しかし当時のイタリアワイン法では、ボルゲリでカベルネから造られる赤ワインは最下級の「ヴィーノ・ダ・ターヴォラ(テーブルワイン)」を名乗るしかありませんでした。「規格外の最高級ワイン」という矛盾はやがて制度を動かし、1994年、サッシカイアは単一エステートとしてイタリア唯一のDOC「ボルゲリ・サッシカイア」を獲得。一本のワインが国の法律を変えた、世界でも稀有な例です。

栄光の記録

1985年ヴィンテージはロバート・パーカー100点。2015年ヴィンテージは『ワイン・スペクテーター』誌の世界年間トップ100で堂々の第1位(2018年発表)。半世紀を経てなお、サッシカイアは世界のコレクターが追い求める「イタリアの第一級格付け」であり続けています。

テロワールと造り

カベルネ・ソーヴィニヨン85%、カベルネ・フラン15%。地中海を望む砂利質の丘陵畑は、ティレニア海からの海風で夜は涼しく、ブドウはゆっくりと完璧に熟します。醸造はフレンチオークのバリックで約24ヶ月の熟成。力強さよりも、エレガンス、塩味を帯びたミネラル、地中海ハーブの気品こそがサッシカイアの真骨頂です。

最新ヴィンテージ「2022年」を読む

現在入手可能な最新ヴィンテージは2022年。猛暑と乾燥に見舞われた難しい年でしたが、海風と樹齢を重ねた畑がボルゲリの強みを証明しました。摘み取りを早め、抽出を穏やかにすることで、暑い年とは思えないフレッシュさと透明感を保っています。

評価も圧巻です。ワイン・アドヴォケイト(モニカ・ラーナー)97+点、ジェームズ・サックリング98点、デカンター97点、ヴィナス94点。ラーナー氏は飲み頃を2028年から2050年と予測しており、長期熟成のポテンシャルも折り紙付き。「暑い年のボルゲリ」の最良の教科書といえる仕上がりで、今から寝かせる一本としても、記念日の一本としても最高の選択です。

東京のイタリアンで見かける「空き瓶」の話

東京のイタリアンを訪れると、棚やカウンターの奥に、ラベルを正面に向けたワインの空き瓶が飾られていることがあります。その中によく見つかるのが、このサッシカイア。中身はもう入っていないのに、なぜ大切に飾られているのでしょうか。

サッシカイアは、記念日や大切な商談、お祝いの席で選ばれることの多い一本です。抜栓した一本は、店にとってもお客様にとっても特別な時間の記憶になります。だからこそ空き瓶は捨てられず、誇らしい思い出として飾られるのです。スワールが日本各地のレストランとお付き合いするなかでも、リストには載せず、特別なお客様のためにとっておきの一本を確保している名店は少なくありません。

イタリアンレストランに飾られたサッシカイアなどワインの空き瓶ディスプレイ

一方で、飲み頃を迎えた熟成ヴィンテージは年々入手が難しくなっています。生産量が限られるなか、世界中で需要が高まり続けているためです。出会えるうちに「ヴィンテージ(生産年)」を意識して探すこと、そしてお気に入りの店のソムリエと信頼関係を育てておくことが、いつか「実はリストにない良いものがあるんです」という一本に出会う近道になります。これも、サッシカイアというワインを長く楽しむ醍醐味のひとつです。

サッシカイアの系譜を、グラスで

テヌータ・サン・グイドは現在3つの赤を造っています。頂点のサッシカイア、2000年に誕生したセカンド的存在のグイダルベルト、そして気軽に楽しめるレ・ディフェセ。同じ畑のDNAを受け継ぐ3本を順に味わえば、伝説の理由がきっと腑に落ちるはずです。当店ではいずれもお取り寄せにて承っています(サッシカイア2022は数量僅少のため、お問い合わせください)。

造り手の物語はテヌータ・サン・グイドのワイナリーページでご覧いただけます。

【お取り寄せ商品について】
本記事でご紹介したワインはご注文をいただいてから手配するお取り寄せ品です。お届けまで通常4営業日ほどお時間をいただきます(商品により前後する場合がございます)。仕入先の在庫状況によりご用意できない場合は、速やかにご連絡のうえ、全額返金にて対応いたします。

Tenuta San Guido / Sassicaia テヌータ・サン・グイド / サッシカイア 2022

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