忘年会・新年会のワインフライト:乾杯のスパークリングから締めの甘口まで

忘年会・新年会に合うワイン|大人数でも失敗しない選び方と、料理別のおすすめ

2026年10月30日更新日: 2026.10.30フェデリーコ・ファネッリコメント0件

忘年会・新年会のワインは、中口(ちゅうくち、甘すぎず渋すぎない)の赤を1本、辛口(からくち、甘くない)のスパークリングを1本、軽めの白を1本そろえれば、好みの違う大人数でもまず外しません。東京でイタリアワインを輸入し、年末は毎年あちこちの集まりに注いできた私(フェデリーコ)の実感です。この記事では、唐揚げから鍋、チーズ、締めのデザートまで、忘年会・新年会の定番料理に「何を」「なぜ」合わせるかを、料理別に具体的にご案内します。高いワインを一本だけ持っていくより、役割の違う数本を用意するほうが、ずっと喜ばれます。

忘年会・新年会のワインはどう選ぶ?

選ぶ基準は「価格」ではなく「料理の幅」と「飲みやすさ」です。大人数の集まりでは、ワインに詳しい人もそうでない人も同じテーブルにいます。だからこそ、クセの強い高級ワインを一本だけ用意するより、誰が飲んでも心地よい中口の赤・辛口の泡・軽い白を一本ずつ押さえるのが、いちばん失敗しません。

基準はシンプルに3つです。まず渋み(タンニン、口の中が乾く感覚)が穏やかなこと。渋みが強い赤は料理を選び、普段ワインを飲まない人には重く感じられます。次に冷やして出せること。泡と白はもちろん、中口の赤も少し冷やすと大人数の席で飲みやすくなります。最後に料理の油や濃い味に負けないこと。居酒屋料理は味が濃く油も多いので、酸(さん、口をさっぱりさせる要素)と果実味がしっかりある銘柄が合います。この3つを満たす代表格が、南イタリアのプリミティーヴォ(果実味ゆたかで渋み穏やかな赤)と、トスカーナのサンジョヴェーゼ(酸がきれいで料理に寄り添う赤)です。どちらも手頃で飲みやすく、和食中心の居酒屋料理とも驚くほど相性がよいので、忘年会の一本目の赤として安心して選べます。

乾杯はなぜスパークリングが外さない?

大人数の乾杯は、辛口のプロセッコ(イタリアの辛口スパークリング)で始めるのが最も無難で、場も華やぎます。泡は見た目に特別感があり、アルコールもワインとしては軽め、食前の一杯として誰の舌にもなじむからです。

プロセッコはシャンパーニュより軽やかで価格もやさしく、りんごや白い花を思わせる香りで、最初の料理が何であってもぶつかりません。ピンクの泡(プロセッコ・ロゼ)にすると席がいっそう明るくなり、女性の多い会や新年会の華やかな席にも向きます。甘い泡が好きな人が多い席では、モスカート系の微発泡(びはっぽう、やさしい泡)を別に一本用意しておくと、お酒が強くない人にも喜ばれます。乾杯の泡はよく冷やし(6〜8度が目安)、注ぎ分けやすいよう抜栓は乾杯の直前にしましょう。

泡をおすすめするもう一つの理由は、グラスが足りない席でも使いまわしやすいことです。最初の乾杯を泡で済ませれば、そのグラスをさっと水ですすいで次の白や赤に移れます。大人数で乾杯がばらけそうなときは、一本を一気に注ぎきらず、半量ずつ二巡に分けて注ぐと、全員のグラスに泡が行き渡り、乾杯のタイミングもそろいます。炭酸は時間がたつと抜けるので、飲みきれそうな本数だけを先に開けるのがコツです。

プロセッコ・ミレジマート・ブリュット乾杯の定番。辛口でキレがあり、最初の料理を選ばない万能な泡。
プロセッコ・ロゼ・ミレジマート華やかなピンクの泡。新年会や人数の多い席の乾杯を明るくする一本。

料理別に合うワインは?(唐揚げ・鍋・チーズ・ピザ・締め)

揚げ物には泡、鍋には軽い白、肉やチーズには中口の赤、という役割分担を覚えておけば、忘年会・新年会の料理のほとんどに対応できます。ここからは定番料理ごとに、私が実際にお出しして喜ばれた合わせ方をご紹介します。

唐揚げ・揚げ物には泡か軽い白

油の多い揚げ物には、泡のきめ細かい刺激か、酸のある白が最適です。炭酸と酸が口の中の脂をさっと洗い流し、次の一口が軽くなります。唐揚げ、フライドポテト、春巻き、天ぷらまで、プロセッコかピノ・グリージョ(軽快ですっきりした白)を合わせれば間違いありません。レモンを搾る料理なら、白の酸が自然につながります。

鍋料理は出汁の濃さで白と赤を使い分ける

鍋は出汁(だし)の濃さで合わせるワインが変わります。水炊きや湯豆腐のような淡い出汁には、ソアヴェ(北イタリアのやわらかい白)やピノ・グリージョのような軽い白。味噌鍋やキムチ鍋、すき焼きのような濃い味には、果実味のあるプリミティーヴォの軽い冷やし(15〜16度)が驚くほど寄り添います。ポン酢の酸は白と、ごまダレのコクは赤と相性がよい、と覚えておくと便利です。

チーズ・生ハム・ピザには中口の赤

前菜の盛り合わせ(チーズ、生ハム、サラミ、ピザ)には、渋みのおだやかな中口の赤がいちばん幅広く合います。プリミティーヴォの熟した果実味は生ハムの塩気とチーズのコクを包み込み、サンジョヴェーゼ(モレッリーノ)の酸はトマトソースのピザやサラミの脂をきれいに流します。テレンツィのバルビーノのような軽やかな赤なら、ワインが得意でない人にもすっと飲んでもらえます。

肉のメインには果実味のある赤

ローストチキン、ステーキ、煮込みなどのメインには、果実味と程よいコクのある赤を。プリミティーヴォは鶏や豚の甘みに、サンジョヴェーゼは牛やトマト煮込みによく合います。濃い赤を少し冷やして出すと、暖房のきいた室内でも重たくならず、最後まで飲み飽きません。

締めとデザートは甘口の微発泡で

締めのデザートやフルーツ、パネットーネ(イタリアの年末の菓子パン)には、甘口のモスカートがぴったりです。やさしい甘さと低めのアルコールで、満腹の体にも軽く、最後まで笑顔で締めくくれます。甘いものが苦手な席でも、食後の一杯として少量を回すと喜ばれます。チョコレートやナッツを使った菓子、みかんやいちごのようなフルーツとも好相性で、甘さどうしがぶつからず、果実の香りがふわりと重なります。アルコールが5〜7度ほどと低いので、二次会の前に一息つきたいときの軽い一杯としても便利です。

料理 おすすめタイプ なぜ合うか
唐揚げ・揚げ物 辛口スパークリング/軽い白 泡と酸が油を洗い流し、口をさっぱりさせる
水炊き・湯豆腐 軽い白(ソアヴェ、ピノ・グリージョ) 淡い出汁をじゃましない繊細さ
味噌鍋・キムチ鍋・すき焼き 中口の赤を軽く冷やして 果実味が濃い味とコクに寄り添う
チーズ・生ハム・サラミ 中口の赤(プリミティーヴォ) 塩気と脂を熟した果実味が包む
トマトソースのピザ・パスタ サンジョヴェーゼの赤 きれいな酸がトマトの酸と調和する
肉のメイン(鶏・豚・牛) 果実味のある赤 肉の甘みとコクを受け止める
締め・デザート・パネットーネ 甘口モスカート(微発泡) やさしい甘さと低アルコールで軽く締める

忘年会の一夜を流れで追う「ワインの順番」

乾杯辛口プロセッコ泡で場を開く。前菜の前に。
前半軽い白揚げ物・サラダ・淡い鍋に。
メイン中口の赤肉・チーズ・濃い鍋に。少し冷やして。
締め甘口モスカートデザートとパネットーネに。

何本用意すれば足りる?持ち寄りのマナーは?

目安は、料理が中心の会なら大人4人に1本、ワインが主役の会なら3人に1本です。たとえば8人の忘年会なら、乾杯の泡1本、白1本、赤2本の計4本あれば一巡でき、話が弾んで足りなくなったときのために予備を1本足すと安心です。

持ち寄り(ポットラック)の場合は、重複を避けるため「自分は赤を担当する」と役割を決めておくとスムーズです。手土産として一本持参するなら、箱入りや紙袋に入れて渡すと丁寧です。相手の好みが分からないときは、誰にでも飲みやすいプリミティーヴォや、特別感のあるプロセッコが無難です。会場がレストランで持ち込みをする場合は、抜栓料(持ち込み料)がかかることが多いので、事前に確認しておきましょう。

当日に慌てないために、冷やす時間も逆算しておきましょう。泡と白は冷蔵庫で3〜4時間、急ぐときは氷と水を張ったバケツに塩をひとつかみ入れて15〜20分で飲み頃になります。赤は常温のままだと冬の室内では温まりがちなので、会の30分前に冷蔵庫へ入れておくと、ちょうど飲みやすい温度に落ち着きます。栓抜き(ソムリエナイフ)と、泡用のストッパー、人数分より少し多めのグラスを用意しておくと、進行が途切れません。

高いワインほど喜ばれる?(よくある誤解)

忘年会で本当に喜ばれるのは、価格ではなく「料理に合い、みんなが飲みやすい一本」です。高価で渋みの強いワインは、静かに向き合って飲むには素晴らしくても、油の多い居酒屋料理や、わいわいと話す大人数の席では本領を発揮しきれません。

むしろ、果実味がゆたかで渋みのおだやかな手頃な赤のほうが、唐揚げにもピザにも鍋にも寄り添い、席全体を笑顔にします。予算を一本に集中させるより、役割の違う数本に分けるほうが、同じ金額でも満足度はずっと高くなります。「良いワイン」とは、その場といちばん仲よくしてくれるワインのことです。

もう一つよくある思い込みが、「重い赤ワインのほうが豪華に見える」というものです。実際には、タンニンの強いフルボディの赤は、料理の途中で飲み疲れてしまい、グラスが進まなくなりがちです。大人数の長い会ほど、軽やかで飲み飽きない赤のほうが結果的に多く飲まれ、会話も弾みます。見た目の重厚さより、最後の一杯まで気持ちよく飲めることを基準に選ぶと、ほぼ失敗しません。

イタリアの年越しでは何を飲む?

イタリアでは大晦日の夜、コテキーノ(豚の腸詰)やザンポーネと一緒にレンズ豆(レンティッキエ)を真夜中に食べ、新しい年の豊かさを願います。小さなレンズ豆が硬貨(コイン)に似ていることから、たくさん食べるほどお金に恵まれるという、イタリア中で愛される縁起かつぎです。日本ではあまり知られていませんが、年越しそばや数の子に通じる、食べ物に願いを込める文化がイタリアにもあるのです。

私の地元ミラノのあるロンバルディア州では、真夜中の乾杯にフランチャコルタ(ロンバルディアを代表する瓶内二次発酵のスパークリング、シャンパーニュと同じ製法)を開けるのが定番です。泡で一年の締めくくりと始まりを祝うこの習慣は、日本の忘年会・新年会のワイン選びにもそのまま生きます。締めのレンズ豆の煮込みのような濃い料理には中口の赤を、真夜中の乾杯には辛口の泡を。イタリアの家庭が長年くり返してきた組み合わせは、そのまま日本の年末の食卓の道しるべになります。

Swirlで選ぶ、忘年会・新年会におすすめの一本は?

迷ったら、私がよくお出しするのはドッピオ・パッソ・プリミティーヴォです。果実味がゆたかで渋みがおだやか、唐揚げからチーズ、濃い鍋まで幅広く寄り添い、ワインが得意でない人にも飲みやすい、まさに大人数向けの一本です。日本では当店が初めて独占輸入した造り手で、価格も手頃なので、何本か用意する忘年会にも向きます。

サンジョヴェーゼのきれいな酸が好みなら、トスカーナのモレッリーノ・ディ・スカンサーノ。乾杯には辛口のプロセッコ、華やかにしたい席ではプロセッコ・ロゼ。白はピノ・グリージョやファリナルド・ソアヴェが鍋や揚げ物に合います。締めには甘口のモスカートを。それぞれの役割を下の表にまとめました。

ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ迷ったらこれ。果実味ゆたかで渋み穏やか、料理を選ばない大人数向けの赤。
モレッリーノ・ディ・スカンサーノサンジョヴェーゼのきれいな酸。トマト料理やピザ、サラミに。
バルビーノ軽やかで親しみやすい赤。ワインが得意でない人にもすっと飲める。
ピノ・グリージョすっきり軽快な白。揚げ物や淡い鍋に。冷やして。
ファリナルド・ソアヴェやわらかな北イタリアの白。水炊きや湯豆腐の繊細な出汁に。
プロセッコ・ミレジマート・ブリュット乾杯の定番。辛口でキレがあり食前にも。
プロセッコ・ロゼ・ミレジマート華やぐピンクの泡。新年会や人数の多い乾杯に。
ドッピオ・パッソ・モスカート甘口の微発泡。締めのデザートやパネットーネに。
モスカート・ダスティやさしい甘さの微発泡。お酒が強くない人にも喜ばれる締めの一杯。
シーン・役割 Swirlで選べるワイン タイプ ひとこと
乾杯の泡 プロセッコ・ミレジマート・ブリュット 辛口スパークリング 最初の一杯の定番
華やかな乾杯 プロセッコ・ロゼ・ミレジマート 辛口ロゼ泡 人数の多い席を明るく
揚げ物・淡い鍋 ピノ・グリージョ/ファリナルド・ソアヴェ 軽い白 油と出汁をさっぱり
チーズ・肉・濃い鍋 ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ 中口の赤 迷ったらこれ
ピザ・トマト料理 モレッリーノ・ディ・スカンサーノ サンジョヴェーゼの赤 きれいな酸で後味軽く
親しみやすい赤 バルビーノ 軽めの赤 ワイン初心者にも
締め・デザート ドッピオ・パッソ・モスカート/モスカート・ダスティ 甘口微発泡 低アルコールで軽く締める

よくある質問(FAQ)

Q. 忘年会のワインの予算はどのくらいが目安ですか?
A. 一本あたり1,500〜3,000円を数本用意するのが、料理との相性と満足度のバランスが最もよい価格帯です。高級ワインを一本だけ持ち込むより、この価格帯を役割別に3〜4本そろえるほうが、大人数では喜ばれます。

Q. 赤・白・泡、どれを何本の割合で用意すればいいですか?
A. 泡1:白1:赤2が、居酒屋料理の多い忘年会の基本比率です。甘口好きが多い席なら、締め用に甘口の微発泡を1本足すと最後まで飲み手が途切れません。

Q. お酒が強くない人や飲まない人がいる席ではどうすれば?
A. アルコールの低い甘口モスカート(5〜7度ほど)を1本置くと、少量でも楽しめて場になじみます。ノンアルコールの炭酸やジュースを別に用意し、同じグラスで乾杯できるようにすると、飲まない人も疎外感がありません。

Q. 赤ワインは冷やさないほうがいいのですか?(よくある誤解)
A. 暖房のきいた室内では、中口の赤も15〜16度に軽く冷やすほうが飲みやすくなります。常温と思って出すと日本の冬の室内では温まりすぎ、渋みやアルコールが強く出てしまうためです。

Q. 飲みきれなかったワインは持ち帰って保存できますか?
A. コルクやキャップをしっかり閉めて冷蔵庫で立てて保存すれば、2〜3日は十分おいしく飲めます。泡は専用のストッパーがあると炭酸が長持ちし、翌日の食事にも使えます。

年末年始の集まりは、ワインが会話をつなぐ絶好の機会です。役割の違う数本を用意して、どうぞ楽しい一年の締めくくりを。乾杯。

参考:大晦日のコテキーノとレンズ豆の縁起かつぎ(The Local Italy、Grana Padano、Fine Dining Lovers)、フランチャコルタの製法(Consorzio Franciacorta)。在庫は2026年10月30日時点のStockMart(販売可能本数)で確認しています。

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