オーガニック(ビオ)、ビオディナミ、自然派(ヴァン・ナチュール)、ヴィーガン、サステナブル。ワインの「環境や造りにこだわったラベル」は言葉が似ていて重なりも多いですが、それぞれ指している範囲が違います。ざっくり言えば、畑の話、造り全体の話、資材の話、経営全体の話と、注目している場所が異なります。ここでは東京でイタリアワインを扱う立場から、5つの言葉の違いをやさしく整理します。
まず押さえる、よくある誤解
いちばん多い誤解は「オーガニック=自然派=ヴィーガン、ぜんぶ同じ」というものです。実際はそれぞれ別の軸の話です。
- オーガニックとビオは同じ意味です(bioはヨーロッパでの呼び方)。どちらも「畑」の認証で、化学合成農薬や化学肥料を使わない栽培を指します。
- 自然派(ヴァン・ナチュール)は「造り全体」の考え方で、公的な認証ではありません。畑だけでなく醸造でも添加物を最小限にします。
- ヴィーガンは「資材」の話です。環境とは別の軸で、造る過程で動物由来のものを使わないワインを指します。
5つの違いを一覧で
| 呼び方 | 何に注目するか | 認証 |
|---|---|---|
| オーガニック(ビオ) | 畑:化学合成農薬・化学肥料を使わない栽培 | あり(EUの有機認証など) |
| ビオディナミ(バイオダイナミック) | 畑と暦:有機に加え、月や天体のリズムに沿った独自の農法 | あり(Demeterなど) |
| 自然派(ヴァン・ナチュール) | 造り全体:畑から醸造まで添加物を最小限に | 基本なし(自主的な考え方) |
| ヴィーガン | 資材:清澄(せいちょう)などで動物由来のものを使わない | あり(V-Labelなど) |
| サステナブル | 経営全体:環境・社会・経済の持続可能性 | あり(イタリアのVIVA、Equalitasなど) |
もう少しだけ深掘り
それぞれの認証が「どこを見ているか」を知ると、ぐっと選びやすくなります。EUの有機認証は主に畑を見ます(化学合成農薬や化学肥料を使わない栽培)。ビオディナミのDemeter(デメター)は有機に加えて、堆肥(たいひ)の作り方や作業の暦まで含む独自の農法です。ヴィーガンで鍵になるのは清澄(せいちょう:にごりを取り除く仕上げの工程)で、一般には卵白やゼラチン、カゼイン(乳由来)を使うことがありますが、ヴィーガンワインではベントナイト(粘土の一種)など植物・鉱物由来のものだけを使います。サステナブルはさらに広く、水やエネルギーの使い方、働く人のことまで含めた「造り手全体の持続可能性」を評価します。イタリアではVIVA(政府が始めた指標)やEqualitas(イクアリタス)が代表的です。
日本での選び方と楽しみ方
自然派というと「にごっていて酸っぱい」「クセが強い」と思われがちですが、実際にはクリアで飲みやすいものもたくさんあります。認証ラベルは裏面に小さく載っていることが多いので、気になる方はまず裏ラベルを見てみてください。選ぶときは、自分が何を大切にしたいかで決めると迷いません。畑の環境ならオーガニック(ビオ)、動物由来を避けたいならヴィーガン、造り全体の自然さなら自然派、総合的な持続可能性ならサステナブル、という具合です。
本場イタリアの楽しみ方も、ひとつ紹介させてください。シチリアには「スキティッキオ(schiticchio)」という方言があります。パレルモ周辺で使われる言葉で、思い立って野外に出て、仲間と手料理や炭火焼きを囲みながら、のんびり食べて飲む、そんな気ままな集まりのことです。畑仕事の合間や休日に、気取らないワインをそのまま楽しむ。オーガニックや自然派の魅力は、まさにこの「肩の力を抜いた、正直な一杯」に通じます。難しく考えず、普段の食卓で気軽に開けてみてください。
フェデリーコのおすすめ
環境にやさしい造りを気軽に試すなら、シチリアのバローネ・ディ・セッラマッロッコ インゾーリアがおすすめです。サステイナブルな農法で育てた土着品種インゾーリアの辛口白で、よく冷やすと柑橘やハーブの香りが心地よく、和食にもよく合います。太陽と風が強いシチリアは病害が出にくく、有機的な栽培がしやすい土地でもあります。動物由来の資材を使わないヴィーガンの一本を探すなら、シラー・セドゥツィオーネも好例です。
もっと詳しく知りたい方へ
それぞれのテーマは個別の記事でも掘り下げています。あわせてどうぞ。
- オーガニック認証ワインとは?ビオとの違い
- ビオワインとは?オーガニックとの違いとシチリアの自然農法
- 自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)とは?
- ヴィーガンワインとは?動物性不使用の製法
- バイオダイナミック農法とは?
- サステイナブルなワイン選びのポイント
よくある質問
Q. 自然派ワインとオーガニックワインは同じですか?
A. いいえ。オーガニック(ビオ)は「畑」の認証で、化学合成農薬や化学肥料を使わない栽培を指します。自然派は「造り全体」の考え方で、畑から醸造まで添加物を最小限にしますが、公的な認証はありません。重なる部分は多いですが、別の言葉です。
Q. ヴィーガンワインとオーガニックワインの違いは?
A. 注目している場所が違います。オーガニックは栽培(畑)、ヴィーガンは造る過程で動物由来の資材(清澄に使う卵白やゼラチンなど)を使わないことを指します。オーガニックでもヴィーガンでない場合があり、その逆もあります。
Q. 認証がなくても、自然な造りのワインはありますか?
A. あります。認証には費用や手間がかかるため、あえて認証を取らずに有機的で自然な造りをしている生産者は世界中にたくさんいます。ラベルの有無だけでなく、造り手の姿勢も参考にしてください。
Q. サステナブルワインは環境だけの話ですか?
A. いいえ。サステナブルは環境に加えて、社会(働く人)や経済(経営)まで含めた総合的な持続可能性を指します。イタリアのVIVAやEqualitasは、この考え方に基づく認証です。
Q. 日本でも買えますか?
A. はい。当店でもサステイナブルな農法の白ワインなどを扱っています。まずは気軽な一本から、普段の食卓で試してみてください。

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