プーリア州マンドゥーリア、サレントのブドウ畑

プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアとは?プーリアが生む濃厚な赤

2026年6月23日フェデリーコ・ファネッリコメント0件

プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアとは、イタリア南部プーリア州のサレント半島で、プリミティーヴォ種からつくられる、濃厚で力強い赤ワインの原産地呼称(DOP)です。太陽をたっぷり浴びた果実味と、まろやかな甘やかさが魅力。プーリアの赤を語るうえで、避けては通れない名前です。

イタリア出身で東京の店に立つ私から見ても、プリミティーヴォはこの数年でいちばん「お客さまの心をつかんだ」南イタリアの赤のひとつです。

よくある誤解:「甘くて重いだけ」ではない

アルコールが高く果実が濃いので、「甘ったるくて重い」と思われがちですが、これは半分だけ正解です。プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアの辛口は、最低アルコール度数13.5%と定められ、これは世界で最も高い「辛口ワインの最低アルコール基準」です。とはいえ、これは酒精強化(あとからアルコールを加えること)ではなく、強い日差しでブドウが自然に完熟した結果。甘みではなく、熟した果実の凝縮感なのです。プーリアIGT(より広い地域区分)の気軽な一本から、マンドゥーリアDOPの本格派まで、幅があります。

味わいの特徴

項目 傾向
ボディ フル
酸味 中程度
渋み(タンニン) 中程度、まろやか
香り 完熟プラム、ブラックチェリー、甘いスパイス、チョコレート
飲み頃温度 16〜18℃

産地で変わるスタイル

区分 スタイル
プーリアIGT(広域) ジューシーで親しみやすい。日常の一本、価格も手ごろ
プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア DOP 凝縮感のある本格派。古木からの深い味わい
マンドゥーリア ドルチェ・ナトゥラーレ DOCG 自然な甘口。食後酒向き

マンドゥーリア周辺の伝統は、「アルベレッロ」という独特の仕立て方にあります。支柱を使わず、ブドウの木を低い茂みのように育てる、地中海らしい方法です(日本語では「株仕立て」に近い)。収量は少ないものの、樹齢を重ねた古木は質の高いブドウを生みます。こうした古いアルベレッロの畑は、サーヴァ村のあたりの赤い土壌にいまも残り、まるで銘醸畑のような特別な区画を形づくっています。

日本での楽しみ方・合う料理

プリミティーヴォのまろやかさと果実味は、甘辛い和の味付けと相性抜群です。焼き鳥(たれ)、豚の角煮、照り焼き、すき焼き、そして夏のバーベキューにもよく合います。意外なところでは、餅子やマーボー豆腐のような中華とも好相性。「重すぎる赤は苦手」という方も、よく冷えた(16℃くらいの)プリミティーヴォなら、驚くほどするりと飲めます。
地元サレントの食卓には、「ファーヴェ・エ・チコリア」という素朴な郷土料理があります。乾燥そら豆をくたくたに煮てなめらかにつぶし、野生のチコリ(ほろ苦い菜っ葉)を烒めて添えた、昔ながらの「貧者の料理(クチーナ・ポーヴェラ)」です。豆の優しい甘みと青菜のほろ苦さ。こうした飾らない一皿に、地元の人はごく当たり前に、土地の赤プリミティーヴォを合わせます。家庭料理にこそ孄り添う、それがこのワインの本質です。

フェデリーコのおすすめ

はじめの一本に私がよくおすすめするのが、ドッピオ・パッソのプリミティーヴォです。プーリアIGTらしいジューシーで親しみやすい果実味に、軽い甘やかさ。価格も手ごろで、赤ワインの入門にもぴったりです。よく冷やして、平日の食卓に気軽にどうぞ。
マンドゥーリアDOPの古木から生まれる凝縮タイプは、入荷が不安定な希少品。見かけたら、プリミティーヴォの「もう一段深い世界」としてぜひ試してみてください。

選び方・飲み頃・似ているブドウ

毎日の食卓には軽快なプーリアIGTを、特別な日には凝縮したマンドゥーリアDOPを。プリミティーヴォは、アメリカではジンファンデルと呼ばれる同じ品種で、ともに果実味の豊かな赤になります。南イタリアつながりでは、シチリアのネロ・ダーヴォラや、同じプーリアのネグロアマーロとも近い表情です。もっと知りたい方は、プリミティーヴォ(品種)プーリア州のワインの記事もどうぞ。

よくある質問

Q. プリミティーヴォとプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアは違うのですか?
A. プリミティーヴォはブドウ品種の名前、プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアはサレント半島の特定地域でつくられる、その品種の原産地呼称(DOP)です。後者はより凝縮した本格派が中心です。

Q. 甘口ですか、辛口ですか?
A. ほとんどが辛口です。完熟した果実の甘やかな香りはありますが、味わいは辛口。別途「ドルチェ・ナトゥラーレ」という甘口タイプもあります。

Q. よくある失敗は?
A. アルコールが高めなので、温めすぎると重く感じます。夏はやや冷やし気味(16℃前後)にすると、果実味がいきいきとして飲みやすくなります。

Q. どんな料理に合いますか?
A. 焼き鳥(たれ)、角煮、照り焼き、バーベキュー、餅子など、甘辛くこってりした料理と好相性です。

太陽の記憶がつまった、プーリアの一杯。まずは気軽な一本から、南イタリアの温もりを味わってみてください。

ドッピオ・パッソ ・ プリミティーヴォ

この記事のおすすめワイン

ドッピオ・パッソ ・ プリミティーヴォ

Doppio Passo

¥2,200

詳しく見る
シェア
LINE

関連記事

コメント (0)

この記事に対するコメントはありません。真っ先にメッセージを残してください!

コメントする

ご注意:コメントは承認されないと公開されません