唐揚げに合うワインとは、揚げ衣の油をすっきりと流し、ジューシーな鶏肉の旨みに寄り添う、酸のきいた辛口白ワインやスパークリング、そして少し冷やした軽やかな赤ワインです。 ビールが定番の唐揚げですが、ワインに替えるだけで、いつもの一皿がぐっと軽やかになります。
「唐揚げには重い赤」は思い込み
唐揚げはこってりした料理だから濃厚な赤ワイン、と思われがちです。けれど実際に合わせてみると、主役になるのは「酸」と「泡」です。揚げ物の油を断ち切り、口の中をリセットしてくれるのは、タンニン(渋み)の強い重い赤ではなく、冷えた辛口白や泡のきめ細かな刺激のほう。重い赤はむしろ油と重なって口が疲れてしまいます。私がお店で唐揚げに最初にお出しするのも、よく冷えた白か泡です。
タレ別の合わせ方
| 唐揚げのタイプ | おすすめのワイン |
|---|---|
| 塩+レモン | 辛口のスパークリング、酸のある白 |
| にんにく醤油ダレ | 少し冷やした軽めの赤、辛口ロゼ |
| 甘辛・油淋鶏(ユーリンチー) | 果実味のある辛口白、オフドライの白 |
| スパイシー・ピリ辛 | 冷やした軽い赤、ほんのり甘さのある白 |
合わせ方の軸は三つだけです。油を切る「酸」、口をリセットしてくれる「泡」、そして温度。冷えているほど、揚げたての熱と脂に心地よく対比します。
産地で変わるスタイル
揚げ物と酸のある白を合わせる感覚は、イタリアにも深く根づいています。ヴェネツィアの定番のつまみ「サルデ・イン・サオール(sarde in saor)」は、小魚(イワシ)をカリッと揚げ、炒めた玉ねぎ・酢・松の実・干しブドウの甘酸っぱいマリネに漬けた一品。もとは船乗りの保存食で、今も立ち飲みの軽食(チケッティ)として、よく冷えた地元の白と一緒に楽しまれています。揚げた油を酢の酸と玉ねぎでふわりと受け止める。この「揚げ物は酸で軽くする」という発想が、そのまま唐揚げにも効きます。
だからこそ、ヴェネト州のように冷涼で酸がしっかり残る産地の白が頼りになります。ピノ・グリージョやソアーヴェのように、キリッとした酸と軽やかな果実味を持つ辛口白は、唐揚げの王道の相棒です。
日本の唐揚げでの楽しみ方
塩とレモンのシンプルな唐揚げには、辛口のスパークリングか、きりっと冷やした白を。泡とレモンの酸が重なって、揚げたての軽さが際立ちます。にんにく醤油にしっかり漬けたタレ唐揚げには、少し冷やした軽い赤が意外なほど好相性。醤油の香ばしさと赤の果実味が手をつなぎます。油淋鶏のような甘酢系には、ほんの少し果実味のある白が、甘さと酸をやさしくまとめてくれます。
家でのコツは温度です。白とスパークリングは6〜9℃までしっかり冷やし、軽い赤は15℃前後、夏なら冷蔵庫で20分ほど冷やしてから。揚げたての熱々と、よく冷えた一杯。この温度差こそが、家の唐揚げを一段ごちそうに変えてくれます。
フェデリーコのおすすめ
よくお出しするのは、テヌータ・グリマーニのピノ・グリージョです。ヴェネト州の有機栽培(ビオ)認証のぶどうから生まれる、酸のきれいな辛口白。柑橘や洋梨を思わせる軽やかな果実味で、塩唐揚げにもタレ唐揚げにも気負わず寄り添います。よく冷やして、揚げたてにどうぞ。
泡がお好きならプロセッコ・ミレジマート・ブリュットを。きめ細かな泡が油を流し、唐揚げを軽やかに仕上げます。タレ唐揚げに「意外な赤」を試したい方には、少し冷やしたドッピオ・パッソ プリミティーヴォを。南イタリアの熟した果実味が、にんにく醤油の香ばしさに驚くほど寄り添います。
選び方と、似た揚げ物
迷ったら「タレで選ぶ」のが一番簡単です。塩系なら泡か辛口白、タレ系なら冷やした軽い赤。どれもしっかり冷やすのが成功のコツです。衣の油を軽くするという考え方は、天ぷらに合うワインやとんかつに合うワインにもそのまま応用できます。
よくある質問
Q. 唐揚げはやっぱりビールでは?
A. ビールももちろん好相性です。ただ、スパークリングや冷えた辛口白も、油を流す力はビールに負けません。レモンを搾る感覚でワインを合わせると、新鮮な発見があります。
Q. 赤ワインは本当に合わないの?
A. 渋みの強い重い赤は唐揚げの油と重なって疲れやすいです。合わせるなら、少し冷やした軽めでフルーティーな赤を。とくにタレ唐揚げには驚くほど寄り添います。
Q. どのくらい冷やせばいい?
A. 白とスパークリングは6〜9℃、軽い赤は15℃前後が目安です。夏は冷蔵庫で白なら2〜3時間、軽い赤も20分ほど冷やすと、揚げたてとの対比が心地よくなります。
Q. 市販やお惣菜の唐揚げでも大丈夫?
A. もちろんです。冷めた唐揚げでも、冷えたスパークリングや白を合わせれば十分楽しめます。温め直して、よく冷えた一杯とどうぞ。
揚げたての一個目を、冷えた泡でひとくち。唐揚げの新しい楽しみ方を、ぜひ食卓で試してみてください。

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