グリッロとは、イタリア・シチリア島で育つ白ブドウで、レモンやハーブを思わせる香りと、しっかりとした骨格を持つ辛口の白ワインを生みます。近年のシチリア白ワインを語るうえで欠かせない品種で、すっきりした飲み口とほどよいコクを併せ持つのが魅力です。輸入元として日々シチリアのワインを注いでいる私フェデリーコが、グリッロの味わいから料理との相性、選び方まで分かりやすくご案内します。
「マルサーラ用の地味なブドウ」という誤解
グリッロはもともと、シチリアの酒精強化ワイン(アルコールを少し加えて造る甘口にもなるワイン)「マルサーラ」の主要品種として広まりました。そのため「料理用のお酒のブドウ」という古いイメージを持たれがちです。実際には今、単一品種の本格的な辛口白として高く評価されています。糖度がのりやすく豊かな風味を生む性質が、辛口でもしっかりした味わいの白を生むのです。マルサーラの名脈役から、シチリアを代表する白の主役へ。そんな再評価が進んでいる品種です。
味わいの特徴
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| ボディ | 中程度。すっきりだけでなくコクもある |
| 酸味 | いきいきとして爽やか |
| 渋み(タンニン) | なし〜ごく軽い |
| 香り | レモンや青りんご、ハーブ、ほのかな塩気とアーモンド |
| 飲み頃温度 | 8〜10℃(よく冷やして) |
産地で変わるスタイル
同じグリッロでも、育つ場所と造り方で表情が変わります。
| 産地・造り方 | スタイルの傾向 |
|---|---|
| 西シチリア・海沿い(トラパーニ周辺) | 潮風を感じるミネラル感と、きりっとした辛口 |
| 内陸・標高の高い畑 | 酸が引き締まり、より繊細で香り高い |
| 樽を使った熟成タイプ | 厚みとコクが増し、食事に寄り添う |
多くのグリッロは、香りとフレッシュさを保つためにステンレスタンクで低めの温度で発酵させます。専門的に聞こえますが、要は「果実の香りを飛ばさないよう、ひんやりした環境でじっくり造る」ということです。
西シチリアのトラパーニ地方には、日本ではまだあまり知られていない名物があります。「クスクス・アッラ・トラパネーゼ」、つまり魚介のクスクスです。クスクスは北アフリカの料理ですが、海をはさんで向かい合うこの地方では中世から根づき、地元では「県を代表する一皿」と言われるほど。シナモンやアーモンドを効かせた魚介のスープでいただきます。この土地の白、つまりよく冷えたグリッロを合わせるのが、現地のごく当たり前の組み合わせです。
日本での楽しみ方・合う料理
グリッロのレモンのような爽やかさと程よいコクは、和食ととても相性がよい白です。お刺身や白身魚のカルパッチョ、天ぷら、焼き魚に。塩とレモンでいただくシンプルな料理ほど、よく引き立ちます。トラパーニの魚介のクスクスがそうであるように、グリッロは魚介の旨みに寄り添うのが得意。夏なら冷やし麺や、えびやいかのグリルにもよく合います。「シチリアの白=軽くて単調」と思われがちですが、実際は香りもコクもあり、懐の深い一杯です。よく冷やして8〜10℃で、暑い日にきりっとどうぞ。
フェデリーコのおすすめ
シチリアのグリッロをまず試すなら、よくお出しするのがグリッロ・デル・バローネです。シチリア西部エリチェの造り手バローネ・ディ・セッラマッロッコが、サステイナブル農法で育てたグリッロから生み出す一本。レモンやハーブの香りに、口に含むと感じる力強さと、酸味とミネラルの余韻が魅力です。下のカードからそのままお求めいただけます。同じシチリアの海の白がお好みなら、インゾリアもあわせてどうぞ。
選び方・飲み頃・似ているブドウ
食中酒として毎日でも楽しめる、頼りになる辛口白です。よく冷やして8〜10℃が飲み頃。基本的に若いうちのフレッシュさを楽しむタイプで、開けてすぐおいしくいただけます。似た方向性の白を探すなら、同じシチリアのインゾリア、ミネラル感のあるヴェルメンティーノ、爽やかさで選ぶならソーヴィニヨン・ブランが近い印象です。シチリアの白をもっと知りたい方はシチリアのおすすめワインもどうぞ。
よくある質問
Q. グリッロは甘口ですか?
A. いいえ、基本は辛口です。マルサーラ(甘口にもなる酒精強化ワイン)の印象から甘いと思われがちですが、単一品種のグリッロはすっきりした辛口に造られています。
Q. どんな料理と合いますか?
A. お刺身、天ぷら、焼き魚など魚介全般と好相性です。塩とレモンのシンプルな料理がとくによく合います。
Q. よくある失敗・誤解は?
A. 「シチリアの白は軽いだけ」という思い込みです。グリッロは香りもコクもあり、冷やしすぎると魅力が隠れてしまうので、8〜10℃を目安にしてください。
Q. インゾリアとはどう違いますか?
A. どちらもシチリアの爽やかな白ですが、グリッロのほうが骨格と余韻がしっかりめ。飲みごたえを求めるならグリッロがおすすめです。
気になったら、まずはよく冷やした一杯から。シチリアの海と太陽を、ご自宅で感じてみてください。

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