ロゼワインとは、黒ブドウの果皮から淡い色合いだけを引き出して造る、赤と白のあいだのワインです。ピンクの見た目から甘いお酒だと思われがちですが、実際は辛口が主流。よく冷やせば、夏の食卓にいちばん寄り添ってくれる万能な一本です。
東京でイタリアワインを注いでいると、6月を過ぎたころから「軽くて、よく冷えて、料理を選ばない一本を」というご相談がぐっと増えます。私フェデリーコがそんなときにまずおすすめするのが、ロゼです。
よくある誤解:ロゼ=甘口、ではありません
日本でいちばん多い思い込みが「ロゼは甘い」。色がピンクなので甘そうに見えますが、ヨーロッパで日常的に飲まれているロゼの大半は、しっかりとした辛口です。見分け方はシンプルで、ラベルの表記を見ます。「Brut(ブリュット)」「Secco・Sec(セッコ、セック)」「辛口」なら、すっきり系。「Dolce(ドルチェ)」「Demi-Sec(ドゥミセック)」「甘口」なら、甘め。色の濃さは甘さとは関係ありません。
ロゼの味わい
いちご、ラズベリー、さくらんぼといった赤い果実の香りに、白ワインのような軽やかな酸。渋み(タンニン)はごく軽く、冷やすほど爽やかさが際立ちます。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| ボディ | 軽め〜中程度 |
| 酸味 | 中〜高(冷やすと心地よい) |
| 渋み(タンニン) | ごく軽い |
| 香り | いちご、ラズベリー、柑橘、ときに花 |
| 飲み頃温度 | 8〜10℃(泡はもう少し低めの6〜8℃) |
産地で変わるスタイル
| 産地 | スタイル |
|---|---|
| プロヴァンス(南フランス) | 非常に淡い色、辛口でミネラル感。ロゼの世界基準 |
| イタリア(バルドリーノ・キアレット、アブルッツォのチェラズオーロ) | 果実味とコクのバランスがよい |
| スパークリングロゼ(プロセッコ・ロゼなど) | 泡で軽快、食前から食事まで |
| 新世界(カリフォルニアなど) | 果実味豊かでわかりやすい |
ロゼの色は、黒ブドウの果皮を果汁に短い時間だけ漬け込む「セニエ法」や、軽く搾る「直接圧搾」でつくります。漬け込みが短いほど淡いピンクに。つまり色の違いは、甘さではなく造り方の違いです。
面白いのが南フランスの夏。大きめのグラスにたっぷりの氷を入れてロゼを注ぐ「ロゼ・ピシーヌ(rosé piscine、プールのロゼ)」が定番なのです。サン・トロペのビーチで広まった習慣で、氷で薄まらないように造られた専用ロゼまであるほど。ワインに氷、と聞くと日本では驚かれますが、昼下がりのテラスやプールサイドでは、これがいちばん心地よい飲み方なのです。
日本での楽しみ方と料理
ロゼは白の爽やかさと赤のうまみを併せ持つので、出汁や薬味、少しの脂がある和食に橋を架けてくれます。サーモンの刺身やカルパッチョ、生ハムとメロン、ちらし寿司、焼き鳥(塩)、エビチリ、天ぷら、そして夏なら冷やし中華にも。特別な日のワインではなく、平日の夕飯にこそ気軽に開けてほしいタイプです。
セラーがなくても大丈夫。冷蔵庫でしっかり冷やし、暑い日は南仏式に氷をひとつ落としても楽しめます。薄まりが気になるなら、冷凍したベリーやブドウを浮かべると、見た目も涼やかで味も薄まりません。私の店でも夏は、サーモンや生ハムにスパークリングのロゼを合わせることがいちばん多いです。
フェデリーコのおすすめ
夏に私がよくお出しするのは、ヴェネトの造り手ボスコ・デル・メルロのプロセッコ・ロゼ・ミレジマートです。プロセッコの品種グレラに、赤のピノ・ノワールを少し加えた淡いピンクの泡。フローラルで軽やか、食前の一杯から魚料理まで気持ちよく寄り添います。実は売上の一部が乳がん予防の活動に寄付される一本でもあり、その物語はこちらの記事でご紹介しています。
選び方と飲み頃
食前やさっぱりした料理に合わせるなら、辛口で淡い色のスパークリングロゼやプロヴァンス系。コクのある料理には、イタリア系の果実味あるロゼが頼りになります。飲み頃は8〜10℃、泡は6〜8℃。冷やしすぎると香りが閉じるので、飲む少し前に冷蔵庫から出すのがコツです。軽い赤がお好きな方は、ピノ・ノワールを軽く冷やして飲むのもロゼに近い楽しみ方。白がお好きならピノ・グリージョやプロセッコの記事もどうぞ。
よくある質問
Q. ロゼは甘いお酒ですか?
A. いいえ、大半は辛口です。ラベルの「Brut」「Secco」「辛口」で見分けられます。色の濃さは甘さとは関係ありません。
Q. 開けたらどのくらい楽しめますか?
A. 栓をして冷蔵庫で2〜3日が目安です。泡のロゼは当日から翌日のうちに飲み切るのがおすすめです。
Q. 氷を入れてもいいですか?
A. 南フランスではロゼ・ピシーヌが定番です。薄まりが気になるなら氷は少なめに、または冷凍したベリーを浮かべてみてください。
Q. よくある失敗は?
A. 冷やしすぎ、もしくはぬるさです。8〜10℃がいちばん香りも果実味も生きます。
暑い季節は、肩の力を抜いて一本。よく冷えたロゼから始めてみてください。

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