インポーターがワインを選ぶとは、ただ有名な銘柄や安い一本を仕入れることではなく、試飲を重ね、生産者を訪ね、日本の食卓に本当に合う一本だけを見極める仕事です。華やかに見えて、その裏側は地道な「見極め」の連続です。今日は、私たちがどうやって一本を選んでいるのか、その舞台裏をお話しします。
よくある誤解:「有名だから」「安いから」で選んでいるわけではない
インポーターは有名なラベルを並べて仕入れている、と思われがちです。実際は逆で、無名でも心を動かす一本を探し、有名でも日本の食卓に合わなければ選びません。私がいちばん大切にしているのは、点数や肩書きではなく、「この一本を、東京の食卓で開けたときに幸せになれるか」という感覚です。
一本が決まるまでの流れ
| ステップ | 見ているところ |
|---|---|
| 試飲 | その土地らしさ、飲み飽きしないバランス |
| 生産者を知る | 畑と造りへの姿勢、毎年ぶれない品質 |
| 日本の食卓との相性 | 和食や日常の料理に寄りそうか |
| 価格と物流 | 納得できる価格、夏を越す定温輸送 |
| 契約 | 継続して届けられる関係かどうか |
試飲の文化:トスカーナの「アンテプリマ」
イタリアには、新しいヴィンテージが店頭に並ぶ前に、造り手が造りたてを披露する「アンテプリマ(先行試飲会)」という文化があります。トスカーナでは毎年2月に各産地の会が集まり、モンタルチーノの「ベンヴェヌート・ブルネッロ」ではサンタゴスティーノ修道院の回廊で、報道関係者やバイヤーが最新ヴィンテージを一斉に味わいます。日本ではまだあまり知られていませんが、私たちインポーターにとっては、その年の出来を自分の舌で確かめ、どの一本を日本へ連れて帰るかを決める大切な機会です。ラベルの評価より先に、まず自分で飲む。これが選ぶことの原点です。
日本の食卓に合わせて選ぶ
同じ「おいしい」でも、日本の食卓に合うかどうかは別の物差しです。私が選ぶときにいつも思い浮かべるのは、白いご飯や出汁、しょうゆやみその料理。渋みが強すぎず、料理を邪魔しない果実味とほどよい酸があるか。冷やしても崩れないか。そして、真夏でも品質を保って届けられるか(スワールが夏に定温便を使うのはこのためです)。有名かどうかより、日々の食卓で開けたくなるか。その視点で選ぶと、無理のない価格で毎日たのしめる一本にたどり着きます。
フェデリーコのおすすめ
こうして選んだ一本の例が、テレンツィ モレッリーノ・ディ・スカンサーノです。トスカーナ・マレンマの海に近い畑で育つサンジョヴェーゼで、しなやかな果実味とやわらかな渋み、心地よい酸が魅力。和食の甘辛い味つけにも、トマト系のパスタにも寄りそいます。造り手と長く付き合い、毎年の安定した品質を確かめたうえで日本へお届けしている、私が胸を張っておすすめできる一本です。
あなたが選ぶときの視点
インポーターの目線は、じつはご家庭での一本選びにもそのまま使えます。名前や点数より、「どんな料理と飲むか」「その価格で毎日開けたいか」を先に考えること。産地や造り手の物語を少し知るだけで、味わいはぐっと深くなります。品種から選びたい方はサンジョヴェーゼとは、産地から選びたい方はマレンマワインとはもどうぞ。
よくある質問
Q. インポーターは点数の高いワインを選ぶのですか?
A. 点数は参考にしますが、最優先ではありません。日本の食卓に合うか、毎日たのしめる価格か、を私はより重く見ています。
Q. 無名の生産者のワインは品質が心配です。
A. だからこそ試飲と生産者訪問を重ねます。無名でも、畑と造りが誠実なら、有名銘柄に負けない一本はたくさんあります。
Q. よくある失敗や誤解は?
A. 「輸入ワイン=高い・特別な日のもの」という思い込みです。選び方次第で、無理のない価格の日常の一本はいくらでも見つかります。
Q. 夏に注文しても品質は大丈夫?
A. スワールでは夏場に温度を保つ定温便を使っています。せっかく選んだ一本を、良い状態でお届けするためです。
次の一本を選ぶとき、少しだけ「インポーターの目線」を思い出してみてください。いつものワインが、もっと楽しくなります。

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