ぶどう品種の家系図:ピノ、カベルネ・フラン、サヴァニャン、モスカート、サンジョヴェーゼから生まれた品種たち

ぶどう品種の家系図とは|フランス・イタリア主要品種の親子関係と、飲み比べたいワイン

2026年9月9日更新日: 2026.10.05フェデリーコ・ファネッリコメント0件

ぶどう品種の家系図とは、ワイン用ぶどうの品種同士が「親子」「きょうだい」「同じぶどうの別名」といった血縁でどうつながっているかを、DNA鑑定の結果をもとに一枚の図にしたものです。 1990年代からのDNA研究で、シャルドネの親が「格下」とされた農民のぶどうだったり、プーリアのプリミティーヴォがカリフォルニアのジンファンデルと同じぶどうだったりと、ワインの常識をひっくり返す発見が続いてきました。

私はイタリア出身で、東京でイタリアワインを輸入し、毎日のようにグラスに注いでいます。お客様から「この白が好きなら次は何?」と聞かれたとき、いちばん頼りになるのがこの家系図です。この記事では、フランスとイタリアの主要品種を家系ごとにたどり、それぞれの一族をSwirlのセラーのどのワインで実際に飲めるのかまで、まとめてご紹介します。

よくある誤解:名前が違えば別のぶどう?

いちばん多い誤解は「名前が違えば別の品種」「産地が近ければ親戚」という思い込みです。実際はその逆のケースがたくさんあります。

  • 名前が違っても同じぶどう:プリミティーヴォ=ジンファンデル、ヴェルメンティーノ=ロール(南仏プロヴァンス)、ガルガーネガ(ソアーヴェ)=グレカニコ・ドラート(シチリア)。
  • 色が違っても同じぶどう:ピノ・ネロ、ピノ・グリージョ、ピノ・ビアンコは、果皮の色が変わった突然変異で、DNAは同じです。
  • 同じ産地でも他人:ピエモンテのネッビオーロとバルベーラは、隣り合う畑で育っても、DNA上の近い血縁は見つかっていません。

家系図には3種類の線があります。両親がそろって判明している「親子(トリオ)」、親子なのは確かだがどちらが親か決まっていない「親子関係」、そして名前だけが違う「同一品種(シノニム)」です。この記事でもこの区別を守って書いています。

家系図の見方:緑=いまSwirlのセラーで飲めるぶどう、白=話に登場する親戚。「×」は自然交配の両親、「=」は名前が違うだけの同じぶどうです。

フランス系の家系図:ピノとカベルネ・フランが二大祖先

フランスの主要品種の多くは、ブルゴーニュのピノと、ボルドーのカベルネ・フランという二つの祖先にたどり着きます。そこにアルプス側のサヴァニャンとシラーの系統が加わります。

1. ピノ一族:ブルゴーニュの「本家」

ピノ一族(ブルゴーニュ)
ピノ(ノワール/グリ/ブラン) × グエ・ブラン
↓
シャルドネガメイアリゴテムロン・ド・ブルゴーニュ
シャルドネとガメイ(ボージョレ)はきょうだい。1999年、米カリフォルニア大学デイヴィス校とフランスの研究チームが科学誌『Science』で発表しました。

グエ・ブランは中世に「品質の劣るぶどう」として何度も栽培禁止令が出された、いわば農民のぶどうです。その農民と名門ピノのあいだに生まれたのが、世界でいちばん有名な白ぶどうシャルドネでした。ピノ・ノワール(イタリア名ピノ・ネロ)の果皮の色が抜けたのがピノ・グリ(ピノ・グリージョ)とピノ・ブラン(ピノ・ビアンコ)で、こちらは親子ではなく「同じぶどうの色違い」です。

Swirlでは、同じピノを「色違い」で飲み比べられます。ヴェネトのピノ・グリージョと、果皮の色をしっかり引き出したピノ・グリージョ・ロゼ、そして本家のペタルマ・ギャップ・ピノ・ノワール。さらにピノの子どもであるシャルドネを並べれば、一族の顔ぶれがそろいます。

ピノ・グリージョ 2024

ピノの「灰色」の変異。ヴェネトのビオ白

ピノ・グリージョ 2024

Tenuta Grimani

¥3,700
ピノ・グリージョ・ロゼ 2024

同じピノ・グリージョの、果皮のピンクを生かしたロゼ

ピノ・グリージョ・ロゼ 2024

Bosco del Merlo

¥4,300
ペタルマ・ギャップ・ピノ・ノワール 2022

一族の本家ピノ・ノワール(カリフォルニア)

ペタルマ・ギャップ・ピノ・ノワール 2022

Crosby Roamann

¥7,150
ナパ・ヴァレー・シャルドネ 2023

ピノ×グエ・ブランの子、シャルドネ

ナパ・ヴァレー・シャルドネ 2023

Crosby Roamann

¥7,150

ちなみにSwirlのプロセッコ・ミレジマート・ブリュットも、グレラにピノ・ネロを15%ブレンドしています。ピノ一族は泡の中にも顔を出しているのです。

2. カベルネ・フラン一族:ボルドーの父

カベルネ・ソーヴィニヨンの両親
カベルネ・フラン × ソーヴィニヨン・ブラン
↓
カベルネ・ソーヴィニヨン
1997年、UCデイヴィスのボワーズ博士とメレディス博士が科学誌『Nature Genetics』で発表。黒ぶどうと白ぶどうの自然交配でした。
メルローの両親
カベルネ・フラン × マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント
↓
メルロー(異母きょうだい)マルベック
母のマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントは、2000年代にフランス西部で再発見された忘れられた品種。2009年の研究で確定しました。

つまりカベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの両方の父親です。ボルドーの赤ワインは「カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランのブレンド」が定番ですが、家系図で見ると父と二人の子どもを一本に詰めた、家族のワインなのです。カベルネ・ソーヴィニヨンの母が白ぶどうのソーヴィニヨン・ブランだというのも、初めて聞くと驚かれます。

Swirlのセラーでは、この一族がボルドーとイタリアの両方にいます。右岸のシャトー・ロシェ・ガルダはメルローとカベルネ・フラン、つまり父と子のブレンド。シチリアのセッラマッロッコはカベルネ・ソーヴィニヨン85%にカベルネ・フラン15%と、こちらも親子の組み合わせです。そして母方のソーヴィニヨン・ブランは、ヴェネト東部のボスコ・デル・メルロが造るトゥラニオで味わえます。

シャトー・ロシェ・ガルダ モンターニュ・サンテミリオン 2020

メルロー×カベルネ・フラン:父と子のボルドー右岸

シャトー・ロシェ・ガルダ モンターニュ・サンテミリオン 2020

Château Rocher Gardat

¥6,000
セッラマッロッコ 2015

カベルネ・ソーヴィニヨン+父カベルネ・フラン(シチリア)

セッラマッロッコ 2015

Barone di Serramarrocco

¥8,580
ソーヴィニヨン・ブラン・トゥラニオ 2024

カベルネ・ソーヴィニヨンの「母」

ソーヴィニヨン・ブラン・トゥラニオ 2024

Bosco del Merlo

¥4,510

ほかにも、グラーヴのキュヴェ・デュ・サントネールや、トスカーナ・マレンマでボルドー品種を育てるブレンド・ヌメロ・セッテが、同じ一族のワインです。

3. サヴァニャン(トラミネール)一族:アルプスの古い血筋

サヴァニャン一族
サヴァニャン(トラミネール)
↓
ゲヴュルツトラミネール(トラミネール・アロマティコ)ソーヴィニヨン・ブラン
ゲヴュルツトラミネールはサヴァニャンの香りの強いピンク色の変異。ソーヴィニヨン・ブランはサヴァニャンとの親子関係が確認されており、子どもである可能性が高いとされています。

ここで家系図がつながります。ソーヴィニヨン・ブランはサヴァニャンの子どもと考えられているので、カベルネ・ソーヴィニヨンから見るとサヴァニャンは「おそらく祖父母」。ライチやバラの香りで知られるゲヴュルツトラミネールと、ボルドーの赤ワインが、遠い親戚なのです。Swirlではイタリア名トラミネール・アロマティコとして、北イタリアのイビスコをご用意しています。

トラミネール・アロマティック・イビスコ 2023

サヴァニャンの香りの変異、ゲヴュルツトラミネール

トラミネール・アロマティック・イビスコ 2023

Bosco del Merlo

¥4,400

4. シラー:アルプスを越えたイタリアの親戚

シラーの両親と、イタリアのおじさん
デュレザ(父) × モンドゥーズ・ブランシュ
↓
シラー(父のきょうだい)テロルデゴ
シラーの父デュレザは、北イタリア・トレンティーノのテロルデゴと「きょうだい」。2006年の研究で、フランスとイタリアの品種をつなぐ橋として注目されました。

北ローヌの主役シラーの父は、アルデシュ地方の古い黒ぶどうデュレザ。母はサヴォワの白ぶどうモンドゥーズ・ブランシュとされてきました(最新のゲノム研究では、母との関係はもう少し複雑な可能性も指摘されています)。面白いのは、父デュレザがトレンティーノのテロルデゴのきょうだいだったこと。シラーにとってテロルデゴは「おじさん」にあたり、フランスの名品種がアルプスの向こうのイタリアと血でつながっていたのです。

その縁を感じながら飲みたいのが、北イタリア・ヴェネトで育てたシラー、シラー・セドゥツィオーネです。北ローヌほど濃くなく、黒胡椒のスパイスとやわらかな果実味で、日本の食卓にも合わせやすいシラーです。

シラー・セドゥツィオーネ 2021

イタリア北部で育つシラー。親戚の土地に里帰り

シラー・セドゥツィオーネ 2021

Bosco del Merlo

¥4,400

イタリア系の家系図:南へ広がるサンジョヴェーゼ、海を渡るモスカート

イタリアには500を超える土着品種があり、2021年には数百のイタリア品種のDNAをまとめて調べた「イタリアぶどう品種の親子アトラス」が発表されました。その結果、トスカーナのサンジョヴェーゼや、地中海各地に広がったモスカートが、南イタリアの品種の親であることがはっきりしてきました。

5. サンジョヴェーゼ一族:トスカーナから南へ

サンジョヴェーゼの子どもたち
サンジョヴェーゼ × マントニコ・ビアンコ
↓
ネレッロ・マスカレーゼ(エトナ)ガリオッポ(カラブリア)
ネレッロ・マスカレーゼとガリオッポはきょうだい。ほかにもチリエジオーロ(母はモスカート・ヴィオレット)やシチリアのフラッパートが、サンジョヴェーゼの子どもです。

イタリアで最も多く植えられている黒ぶどうサンジョヴェーゼ。実は両親はまだわかっていません。2007年に「チリエジオーロ×カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォ」という説が出ましたが、その後のDNA研究で否定され、むしろチリエジオーロのほうがサンジョヴェーゼの子どもだとわかりました。親は謎のまま、子どもはトスカーナからシチリアのエトナ山まで広がっている。これがサンジョヴェーゼの面白さです。

Swirlで扱うサンジョヴェーゼは、すべてトスカーナ南部マレンマのテレンツィ家のもの。チリエジオーロも古くから植えられてきた土地です。マレンマには「ブッテリ」と呼ばれる騎馬の牛飼いがいて、その伝統はエトルリア時代にさかのぼるとも言われます。1890年にバッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショーがイタリアを巡業した際、ブッテリが野生馬の乗りこなしで勝負を挑み、勝ったという逸話が今も語り継がれています。そんな野性味のある土地が、引き締まった酸と果実味のサンジョヴェーゼを育てます。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノ 2023

サンジョヴェーゼの入門。チェリーの果実味

モレッリーノ・ディ・スカンサーノ 2023

Terenzi

¥3,850
マードレキエーザ 2020

同じサンジョヴェーゼのリゼルヴァ。熟成した奥行き

マードレキエーザ 2020

Terenzi

¥8,800

もっと凝縮したサンジョヴェーゼなら、少量生産のプーロサングエも。同じぶどう、同じ造り手でも、畑と熟成で表情が変わるのがよくわかります。

6. モスカート一族とガルガーネガ:シチリアのグリッロは「混血の白」

モスカートからグリッロへ、三世代
モスカート・ビアンコ × アクシーナ・デ・トレス・ビアス
↓
ジビッボ(マスカット・オブ・アレキサンドリア)
モスカート・ダスティに使われるモスカート・ビアンコが、ジビッボの親。2001年の研究で判明しました。
グリッロの両親
カタラット × ジビッボ
↓
グリッロ
カタラットは、ソアーヴェのガルガーネガと親子関係にあるシチリアの白ぶどう。
ガルガーネガ一族
ガルガーネガ=グレカニコ・ドラート
↓
カタラットトレッビアーノ・トスカーノ(ユニ・ブラン)アルバーナ
ガルガーネガは、イタリアの多くの白ぶどうと親子関係でつながる「白の大家族」の中心。トレッビアーノ・トスカーノはフランスではユニ・ブランと呼ばれ、コニャックの原料になっています。

シチリアを代表する白、グリッロはカタラットとジビッボの自然交配から生まれました。ジビッボの親はピエモンテのモスカート・ダスティでおなじみのモスカート・ビアンコ。そしてカタラットは、ヴェネトのソアーヴェに使われるガルガーネガと親子関係にあります。北のソアーヴェと南のシチリアが、グリッロの中で出会っているわけです。

この一族は、Swirlのセラーで三世代すべて飲めます。祖先側のモスカート・ダスティ、子のジビッボ、孫のグリッロ、そして「もう一つの家系」ガルガーネガのソアーヴェ。私がテイスティング会で一番盛り上がるのが、この並びです。

モスカート・ダスティ 2024

一族の祖先、モスカート・ビアンコ(ピエモンテ、微発泡・甘口)

モスカート・ダスティ 2024

Alessandro Rivetto

¥3,900
ドッピオ・パッソ・モスカート 2024

シチリアのモスカートを辛口で(日本初・独占輸入)

ドッピオ・パッソ・モスカート 2024

Doppio Passo

¥2,200
クオイアーネ・ジビッボ 2023

モスカート・ビアンコの子、ジビッボ

クオイアーネ・ジビッボ 2023

Barone di Serramarrocco

¥5,280
グリッロ・デル・バローネ 2023

ジビッボ×カタラットの子、グリッロ

グリッロ・デル・バローネ 2023

Barone di Serramarrocco

¥4,400
ファリナルド・ソアヴェ 2024

ガルガーネガ。カタラットと親子関係の「白の大家族」

ファリナルド・ソアヴェ 2024

Tenuta Grimani

¥3,700

7. プリミティーヴォ=ジンファンデル=トリビドラグ

ひとつのぶどう、三つの名前
プリミティーヴォ(プーリア) = ジンファンデル(カリフォルニア) = トリビドラグ(クロアチア)
↓
(子)プラヴァッツ・マリ
三つの名前は同じぶどう。UCデイヴィスのキャロル・メレディス博士らの研究で2001年に確認され、2011年にクロアチアの古名トリビドラグが特定されました。

プリミティーヴォもトリビドラグも、語源はどちらも「早く熟す」。故郷はアドリア海の対岸クロアチアで、そこではトリビドラグとドブリチッチの交配から、クロアチアを代表する赤プラヴァッツ・マリも生まれています。同じ遺伝子でも、プーリアでは甘く熟した果実味と温かみ、カリフォルニアではジャミーでパワフルと、土地で表情が変わります。

この「同じぶどう、別の国」を一番手軽に体験できるのが、Swirlが日本初・独占輸入するドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ。カリフォルニア側は、ジンファンデルをブレンドしたナパのボン・トン・レッドで比べられます。

ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ 2024

プーリアのプリミティーヴォ(日本初・独占輸入)

ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ 2024

Doppio Passo

¥2,200
ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド 2022

ジンファンデルを含むナパのブレンド

ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド 2022

Crosby Roamann

¥8,250

8. ヴェルメンティーノ=ロール:国境をまたぐ同一品種

ひとつのぶどう、四つの名前
ヴェルメンティーノ(トスカーナ・サルデーニャ) = ロール(プロヴァンス) = ピガート(リグーリア) = ファヴォリータ(ピエモンテ)
↓
すべて同じぶどう
DNAで同一品種と確認済み。南仏のロゼやプロヴァンスの白に使われるロールは、イタリアのヴェルメンティーノです。

プロヴァンスでは「ロール」、リグーリアでは「ピガート」、ピエモンテでは「ファヴォリータ」。フランスとイタリアで呼び名が違うだけで、中身は同じぶどうです。海辺で育つことが多く、ほんのり塩気を感じるような爽やかさが特徴。Swirlではマレンマのバルビーノでお楽しみいただけます。

バルビーノ 2024

ヴェルメンティーノ=ロール(トスカーナ・マレンマ)

バルビーノ 2024

Terenzi

¥4,400

9. ピエモンテ:ネッビオーロは「親のわからない親」

ネッビオーロ一族
ネッビオーロ
↓
フレイザヴェスポリーナブッビエラスコ
ネッビオーロの両親は不明。一方でフレイザなど複数の品種の親であることがわかっています。

バローロやバルバレスコのネッビオーロは、両親がわからないまま、ピエモンテの品種の「親」として家系図の上のほうに座っています。同じランゲの畑で育つバルベーラやドルチェットとは近い血縁が見つかっておらず、ドルチェットはモワッサンとドルチェット・ビアンコという別の家系の子どもです。ネッビオーロの入口には、リヴェット家のランゲ・ネッビオーロがおすすめです。

ランゲ・ネッビオーロ 2022

ピエモンテの「親」ネッビオーロ

ランゲ・ネッビオーロ 2022

Alessandro Rivetto

¥5,500

10. 家系図の空白:親がまだわからない品種たち

DNA研究が進んでも、両親が特定されていない品種はたくさんあります。シチリアのネロ・ダーヴォラとインツォリア、ピエモンテのアルネイスとナシェッタがその代表。家系図に空白があるのは、それだけ古く、土地に根づいた品種だという証でもあります。よくある混同が、ネロ・ダーヴォラの別名「カラブレーゼ」。サンジョヴェーゼの親候補として話題になったカンパーニアの「カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォ」とは別のぶどうです。

バーリオ・ディ・セッラマッロッコ ネロ・ダーヴォラ:シチリアの黒ぶどう、親は不明
インゾーリア インツォリア(アンソニカ):起源もまだ議論中
ランゲ・ナシェッタ ナシェッタ:ランゲの希少な土着白

Swirlのセラーで家系図をたどる:一覧表

家系ごとに、いまSwirlでお届けできるワインをまとめました。商品ページから在庫と価格をご確認いただけます。

家系 Swirlで飲めるぶどう ワイン
ピノ一族 ピノ・グリージョ、ピノ・ノワール、シャルドネ ピノ・グリージョ/ピノ・グリージョ・ロゼ/ペタルマ・ギャップ・ピノ・ノワール/ナパ・ヴァレー・シャルドネ
カベルネ・フラン一族 カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ソーヴィニヨン・ブラン シャトー・ロシェ・ガルダ/セッラマッロッコ/ソーヴィニヨン・ブラン・トゥラニオ
サヴァニャン一族 ゲヴュルツトラミネール トラミネール・アロマティコ・イビスコ
シラー シラー シラー・セドゥツィオーネ
サンジョヴェーゼ一族 サンジョヴェーゼ モレッリーノ・ディ・スカンサーノ/マードレキエーザ/プーロサングエ
モスカート・ガルガーネガ一族 モスカート、ジビッボ、グリッロ、ガルガーネガ モスカート・ダスティ/ドッピオ・パッソ・モスカート/クオイアーネ・ジビッボ/グリッロ・デル・バローネ/ファリナルド・ソアヴェ
トリビドラグ(同一品種) プリミティーヴォ=ジンファンデル ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ/ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド
ヴェルメンティーノ(同一品種) ヴェルメンティーノ=ロール バルビーノ
ネッビオーロ一族 ネッビオーロ ランゲ・ネッビオーロ
親が不明の品種 ネロ・ダーヴォラ、インツォリア、ナシェッタ バーリオ・ディ・セッラマッロッコ/インゾーリア/ランゲ・ナシェッタ

日本での楽しみ方:家系図で飲み比べ

家系図の一番の使い道は、自宅での飲み比べです。2本か3本を並べるだけで、ワインの理解がぐっと深まります。私がよくおすすめする組み合わせはこの3つです。

テーマ 並べるワイン 合わせたい料理
シチリア三世代 モスカート・ダスティ → クオイアーネ・ジビッボ → グリッロ・デル・バローネ 天ぷら(塩で)、白身魚のカルパッチョ、食後に果物
ボルドーの父と母 ソーヴィニヨン・ブラン・トゥラニオ → セッラマッロッコ 前菜に鶏ささみの梅しそ和え、メインに牛ステーキやすき焼き
同じぶどう、別の国 ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ ↔ ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド 焼肉のタレ、照り焼き、ハンバーグ

飲み比べのコツは、軽いもの、香りの穏やかなものから順に注ぐこと。そして日本の家庭なら温度管理がいちばん大事です。白は冷蔵庫から出して5分ほど、赤はサンジョヴェーゼやプリミティーヴォなら夏場は冷蔵庫で20〜30分冷やして15〜18℃くらいにすると、酸と果実のバランスがきれいに見えます。セラーがなくても十分楽しめます。

選び方:好きな一本の「親戚」をたどる

家系図は、次の一本を外さないための地図です。好きな味から、こんなふうにたどってみてください。

  • シャルドネが好き → きょうだいのガメイ、親のピノ・グリージョ
  • カベルネ・ソーヴィニヨンが好き → 父のカベルネ・フランを含むボルドー右岸のブレンド
  • モスカート・ダスティが好き → 子のジビッボ、孫のグリッロで辛口の世界へ
  • プリミティーヴォが好き → 同じぶどうのジンファンデル
  • サンジョヴェーゼが好き → 子どもにあたるエトナのネレッロ・マスカレーゼ

品種ごとの詳しい解説は、ジンファンデルとはなどのブドウ品種ガイドもあわせてどうぞ。

よくある質問

Q. プリミティーヴォとジンファンデルは本当に同じぶどうですか?
A. はい。DNA研究で、プリミティーヴォ、ジンファンデル、クロアチアのトリビドラグ(クルイェナク・カシュテランスキ)は同一の品種だと確認されています。味わいの違いは産地と造り方によるものです。

Q. カベルネ・ソーヴィニヨンの親は本当に白ぶどうですか?
A. はい。黒ぶどうのカベルネ・フランと、白ぶどうのソーヴィニヨン・ブランの自然交配で生まれたことが、1997年のDNA研究で示されました。

Q. ピノ・グリージョとピノ・ノワールは親子ですか?
A. いいえ、親子ではなく同じぶどうです。ピノ・ノワールの果皮の色が変わった突然変異がピノ・グリージョ(ピノ・グリ)で、DNAは同じです。

Q. サンジョヴェーゼの親はわかっていますか?
A. まだわかっていません。2007年に発表された説は、その後のDNA研究で否定されました。一方で、ネレッロ・マスカレーゼやガリオッポなど、南イタリアの品種の親であることは確認されています。

Q. よくある誤解は?
A. 名前が違えば別のぶどう、産地が近ければ親戚、という思い込みです。ヴェルメンティーノとロールのように国をまたいで同じぶどうもあれば、ネッビオーロとバルベーラのように同じ畑で育っても他人どうしの品種もあります。

家系図を片手に、ぜひ「親戚どうし」の一本を並べてみてください。いつものワインが、少し違って見えてくるはずです。

参考:Bowers ほか『Science』(1999)、Bowers & Meredith『Nature Genetics』(1997)、Boursiquot ほか(2009)、Vouillamoz & Grando『Heredity』(2006)、Crespan ほか『VITIS』(2008)、D'Onofrio ほか『Frontiers in Plant Science』(2021)、Raimondi ほか『Scientific Reports』(2020)。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノ 2023

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