シラーとは、フランス・ローヌ地方生まれの黒ブドウで、黒胡椒のようなスパイスの香りと、ブラックベリーやプラムのような黒い果実味を持つ赤ワインを生む品種です。オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれますが、中身はまったく同じブドウ。冷涼な土地では胡椒とすみれが香る引き締まった赤に、温暖な土地ではジャムのように熟した果実味のパワフルな赤になります。
私はイタリア出身で、東京でイタリアワインを輸入し、レストランや試飲会でお客様にグラスを注いでいます。赤ワインの話になると必ずと言っていいほど出てくるのが、「シラーとシラーズって、何が違うんですか?」という質問です。答えは「ブドウは同じ、違うのはラベルが伝えるスタイル」。この記事では、この名前の誤解をほどきながら、味わいの特徴、黒胡椒の香りの正体、意外な家系図、コート・ロティに伝わる不思議な習慣、日本の食卓での合わせ方、そしてSwirlのセラーで実際に飲めるシラーと、シラー好きにすすめたいワインまで、まとめてご紹介します。
よくある誤解:シラーとシラーズは別のブドウ?
ワインリストに「シラー」と「シラーズ」が並んでいると、別の品種だと思ってしまいますよね。でも結論から言うと、シラー(Syrah)とシラーズ(Shiraz)は同じブドウ品種です。フランスやイタリアでは「シラー」、オーストラリアや南アフリカでは「シラーズ」と呼ばれてきました。
シラーズという名前が広まったのはオーストラリアです。「オーストラリアのブドウ栽培の父」と呼ばれるジェームズ・バズビーが、1832年にヨーロッパからシラーの苗木を持ち帰り、それがニュー・サウス・ウェールズから全土に広がりました。オーストラリアでシラーズは代表的な赤ブドウとなり、その名前とともに世界へ知られるようになったのです。
名前はいまや「スタイルのラベル」
ここが私がいちばん伝えたいポイントです。ブドウは同じでも、今では生産者が名前でスタイルを伝えることが多くなっています。チリや南アフリカ、アメリカ、南フランスの造り手も、ワインの方向性に合わせて「シラー」と「シラーズ」を使い分けているのです。
- 「Syrah(シラー)」表記 → 北ローヌのお手本に近い、きめ細かい渋み、高めの酸、引き締まった果実、ほどよいボディとアルコール。
- 「Shiraz(シラーズ)」表記 → オーストラリアの伝統に近い、熟した果実味、豊かなボディ、高めのアルコール。アメリカンオークの甘い樽香を感じるものも多いです。
つまりラベルの「シラー」「シラーズ」は、品種名であると同時に「どんな味を目指したか」のヒントでもあります。ラベルを見て、エレガント系かパワフル系かを予想してみてください。
「ペルシャのシラーズ生まれ」は伝説
シラーズという名前から、イランの古都シラーズが故郷だという説が語られてきました。ロマンのある話ですが、1998年のDNA鑑定で、シラーはフランス南東部で生まれたブドウであることがわかり、この説は否定されています。
もうひとつの誤解:プティット・シラーはシラーの小さい版?
アメリカでよく見かける「プティット・シラー(Petite Sirah)」も、名前のせいでよく混同されます。実はこれは別の品種です。カリフォルニアで「プティット・シラー」として植えられているブドウの9割以上は「デュリフ」という品種。1880年ごろ、フランスの植物学者フランソワ・デュリフの苗木畑で、シラーの花粉がペルーサンという品種と自然に交配して生まれました。つまりシラーの「子ども」であって、シラーそのものではありません。しかも「プティット(小さい)」という名前に反して、色はインクのように濃く、渋みはシラーよりさらに力強いタイプです。
シラーはいつも重い?
もうひとつ多いのが「シラー=重くて濃い赤」というイメージ。これは主に、温暖な産地の濃厚なシラーズの印象です。冷涼な北ローヌや、北イタリアで育つシラーは、ミディアムボディで酸がきれいな、食事に寄り添うスタイルも多いのです。
シラーの味わいの特徴
シラーの個性は、なんといってもスパイス。そこに黒い果実、すみれの花、熟成するとなめし革やスモーク、オリーブのような香りが重なります。渋み(タンニン)はしっかりしていますが、きめ細かく、絹のような質感のものも多い品種です。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 甘辛 | ほぼすべて辛口 |
| ボディ | ミディアム〜フル(産地で大きく変わる) |
| 酸味 | 冷涼産地はいきいき、温暖産地はおだやか |
| 渋み(タンニン) | 中程度〜しっかり、きめ細かい |
| 主な香り | 黒胡椒、ブラックベリー、ブルーベリー、プラム、すみれ |
| 熟成香 | なめし革、スモーク、オリーブ、土 |
| アルコール度数 | 13〜15%前後(温暖産地ほど高め) |
| 飲み頃温度 | 16〜18℃ |
黒胡椒の香りの正体は「ロタンドン」
シラーを飲んで「本当に胡椒の香りがする」と驚く方は多いのですが、これは気のせいではありません。香りのもとは「ロタンドン」という成分で、黒胡椒そのものにも含まれている香り物質です。2008年ごろ、オーストラリア・ワイン研究所(AWRI)などの研究でシラーズから見つかりました。ロタンドンはブドウの果皮に集まり、涼しい産地ほど強く出る傾向があります。だから北ローヌのシラーは胡椒が際立ち、暑いバロッサのシラーズでは果実の陰に隠れやすいのです。
面白いのは、この香りを感じられない人がいること。研究では、およそ20〜25%の人が遺伝的にロタンドンの香りを感じないとされています。「胡椒なんて全然わからない」という方も、あなたの舌がおかしいのではなく、体質の違いかもしれません。
シラーのスタイル早見図
| 産地 | 呼び名 | スタイル | 合う場面 |
|---|---|---|---|
| フランス・北ローヌ(エルミタージュ、コート・ロティ) | シラー | 黒胡椒、すみれ、引き締まった骨格。熟成で真価を発揮 | 特別な日のジビエ、鴨 |
| フランス・南ローヌ、ラングドック | シラー | グルナッシュなどとのブレンドが多く、果実味がやわらか | 煮込み、家庭料理 |
| イタリア(ヴェネト、トスカーナのコルトーナ、シチリア) | シラー | 果実とスパイスのバランス型。食事に寄り添う | 焼肉、すき焼き、普段の食卓 |
| オーストラリア(バロッサ・ヴァレー、マクラーレン・ヴェイル) | シラーズ | 熟した黒い果実、豊かなボディ、樽の甘い香り | BBQ、スペアリブ |
造りでも味が変わる
シラーの赤ワインは、つぶしたブドウを果皮ごと発酵させ、皮から色や渋み、香りを引き出して造ります。皮と果汁を長く接触させる「マセラシオン(醸し)」を長くとるほど、色も渋みも胡椒の香りも濃くなります。熟成の樽にも違いがあり、北ローヌではフランス産のオーク樽を使うことが多く、スモークやスパイスの複雑さが出ます。一方、オーストラリアの伝統的なシラーズはアメリカンオークを使うことが多く、バニラやココナッツのような甘い香りが加わります。同じブドウでも、畑と樽で別の顔になるのがシラーの面白さです。
シラーのルーツ:フランスとイタリアをつなぐ家系図
1998年、アメリカ・カリフォルニア大学デイヴィス校のキャロル・メレディス博士のチームとフランスの研究者がDNA鑑定を行い、シラーの両親を特定しました。父はアルデシュ地方の古い黒ブドウ「デュレザ」、母はサヴォワの白ブドウ「モンドゥーズ・ブランシュ」。シラーはペルシャから来たのではなく、ローヌ・アルプスで生まれたフランスのブドウだったのです。
さらに面白いのは、2006年の研究でわかったイタリアとのつながりです。シラーの父デュレザは、北イタリア・トレンティーノの黒ブドウ「テロルデゴ」ときょうだいでした。つまりテロルデゴはシラーの「おじさん」。そしてテロルデゴの子どもであるアルト・アディジェのラグレインや、トレンティーノのマルツェミーノは、シラーの「いとこ」にあたります。フランスを代表する赤ブドウが、アルプスの向こう側のイタリアと血でつながっていたのです。同じ研究では、ピノとシラーも遠い親戚(第三度の血縁)であることが示されました。
ただし、家系図には今も書き換えの余地があります。2022年に発表されたシラーズのゲノム解読(全遺伝情報の読み取り)では、母とされてきたモンドゥーズ・ブランシュとの関係は、単純な親子よりも複雑な可能性があると指摘されています。ブドウの家族の話をもっと知りたい方は、ぶどう品種の家系図もどうぞ。
こうして見ると、北イタリアで育つシラーは、いわば親戚の土地への「里帰り」。Swirlのシラー・セドゥツィオーネは、ヴェネト東部、フリウリとの境で育ったシラーです。
コート・ロティの秘密:赤ワインに白ブドウを少し混ぜる
産地の話をひとつ。シラーの聖地、フランス・ローヌ北部の急斜面「コート・ロティ(Côte-Rôtie、「焼けた斜面」の意)」には、日本ではあまり知られていない伝統があります。赤ワインなのに、白ブドウのヴィオニエを一緒に発酵させるのです。原産地呼称(AOC)のルールで最大20%まで認められていますが、実際に使うのはほんの2〜5%ほど。もともとは畑にシラーとヴィオニエが混じって植わっていて、収穫時に分けるのが手間だったという、いたって現実的な理由から始まった習慣です。白ブドウを少し加えると、すみれやジャスミンのような華やかな香りが立ち、不思議なことに赤い色も深く安定します(共発酵による「補色(コ・ピグメンテーション)」という現象です)。赤に白を混ぜると聞くと意外ですが、シラーの故郷では理にかなった、長く続く知恵なのです。
ちなみにコート・ロティの畑は、傾斜が60度近くにもなる急斜面に石垣を積んだ段々畑。「焼けた斜面」の名前は、川に面した斜面が長い時間、日差しを浴びることから来ています。ヴィオニエを加える場合は、ルール上シラーと同時に発酵させなければなりません。
この「シラーとヴィオニエ」の組み合わせは、Swirlのセラーでも体験できます。シラー・セドゥツィオーネと、トスカーナ・マレンマのテレンツィ家が造るヴィオニエ100%の白「モンテドニコ」を並べてみてください。桃や白い花の香りのヴィオニエを先に、次にシラーを飲むと、コート・ロティの造り手たちがなぜこの二つを合わせたのか、香りの相性が実感できます。ヴィオニエについてはヴィオニエとはで詳しく紹介しています。
Swirlで飲めるシラーと、シラー好きにすすめたい赤
Swirlのセラーで、シラーそのものを主役にしているのはシラー・セドゥツィオーネ。そこに、シラーを含むブレンドや、シラー好きの方に自信をもってすすめられる「仲間」のワインを並べました。どれも今お届けできるワインです。
| ワイン | 産地 | ぶどう・スタイル | 役割 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| シラー・セドゥツィオーネ 2021 | イタリア・ヴェネト | シラー。赤い果実、黒胡椒、やわらかな渋み | 主役。イタリアのシラーの入口 | ¥4,400 |
| モンテドニコ 2022 | イタリア・トスカーナ | ヴィオニエ(白) | コート・ロティの相棒ぶどうを体験 | ¥5,610 |
| ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ 2024 | イタリア・プーリア | プリミティーヴォ。熟した黒い果実と樽の甘い香り | シラーズのような果実味が好きな方に | ¥2,200 |
| ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド 2022 | アメリカ・ナパ | メルロー、ジンファンデル、カベルネ、シラー12% | シラー入りのパワフルなブレンド | ¥8,250 |
| バーリオ・ディ・セッラマッロッコ 2022 | イタリア・シチリア | ネロ・ダーヴォラ100% | シチリアでシラーとよく組む土着品種 | ¥4,400 |
| サンマルチェッロ・ピニャテッロ 2022 | イタリア・シチリア | ピニャテッロ(ペッリコーネ) | 濃い色と骨格。スパイシーな赤好きに | ¥5,280 |
| レフォスコ・ロッジョ・デイ・ローヴェリ 2020 | イタリア・ヴェネト | レフォスコ。ドライプラム、シナモン | 同じ造り手の土着品種 | ¥6,560 |
| ランゲ・ネッビオーロ | イタリア・ピエモンテ | ネッビオーロ。バラ、しっかりした渋み | 北ローヌのような骨格派に | ¥5,500 |
| モレッリーノ・ディ・スカンサーノ 2023 | イタリア・トスカーナ | サンジョヴェーゼ。チェリーと酸 | もっと軽やかな赤が欲しいときに | ¥3,850 |
なぜSwirlのシラー・セドゥツィオーネを選ぶのか
シラーは世界中で造られていて、選択肢はたくさんあります。そのなかで私がシラー・セドゥツィオーネをおすすめする理由を、正直にお話しします。
1. 「濃すぎないシラー」が、日本の食卓にちょうどいい
セドゥツィオーネはイタリア語で「誘惑」。造り手の説明では、ブルーベリー、ラズベリー、サワーチェリーのような赤い果実の香りに、スパイスと黒胡椒がほんのり重なり、フレッシュで心地よい味わいです。アルコール度数は13%台と、パワフルなシラーズより控えめ。甘辛いタレや醤油の料理に、ワインが勝ちすぎずに寄り添います。「シラーは重そうで手が出なかった」という方の最初の一本に向いています。
2. 造り手は「つぐみの森」の家族
造り手のボスコ・デル・メルロは、ヴェネト州とフリウリ州の境、アンノーネ・ヴェネトでパラディン家が営む家族の蔵です。名前は「つぐみの森」という意味で、ブドウのメルローとは関係ありません。ぶどうを9月の終わりに完熟させて収穫し、造り手の資料では、小樽(バリック)でゆっくり空気に触れさせながら熟成させることで、角の取れたやわらかな渋みに仕上げています。蔵の物語はボスコ・デル・メルロとはでご紹介しています。
3. 2021年ヴィンテージ、収穫から5年の落ち着き
今お届けしているのは2021年のヴィンテージです。若いシラーにありがちな渋みの硬さがほどけ、果実とスパイスがまとまってきた頃合い。買ってすぐ開けても楽しめるのは、家にセラーがない方にとって大きな安心です。
4. 1杯あたりで考えると
750mlのボトルは、一般的なグラス(約150ml)でおよそ5杯分。外でグラスワインを頼むことを思えば、家でゆっくり楽しむイタリアのシラーとしては手の届きやすい価格です。在庫にも余裕があるので、気に入ったらリピートや、まとめ買いでホームパーティー用にもご用意いただけます。
| ワイン | ボトル価格(税込) | 1杯(約150ml)あたり | こんな方に |
|---|---|---|---|
| シラー・セドゥツィオーネ | ¥4,400 | 約880円 | シラーの入口、和食と合わせたい方 |
| ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ | ¥2,200 | 約440円 | 熟した果実味のデイリー赤が欲しい方 |
| ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド | ¥8,250 | 約1,650円 | シラー入りの濃厚なブレンドで特別な日を |
日本での楽しみ方:甘辛ダレと胡椒がシラーの味方
シラーは、日本の食卓ととても相性のいい赤ワインです。理由は二つ。ひとつは、熟した果実味が醤油とみりん、砂糖を使った甘辛い味つけに寄り添うこと。もうひとつは、黒胡椒の香りが、料理の胡椒や香ばしい焦げ目と香りで共鳴することです。
| 料理 | 合う理由 | おすすめ |
|---|---|---|
| 焼肉(タレ) | 甘辛いタレとシラーの熟した果実味が重なり、脂を渋みがすっきり流す | シラー・セドゥツィオーネ、ドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ |
| 鰻の蒲焼き(山椒をたっぷり) | タレの甘みと香ばしい焦げ目に果実味が合い、山椒の爽やかな刺激をスパイス感が受け止める | シラー・セドゥツィオーネ |
| すき焼き | 割下の甘辛さと牛脂のコクに、果実味と渋みがちょうどいい。溶き卵がワインの渋みもやわらげる | シラー・セドゥツィオーネ、ボン・トン・レッド |
| 唐揚げ(黒胡椒・山椒をきかせて) | 黒胡椒の香りがシラーの胡椒の香り成分と同じ方向を向き、互いを引き立てる | シラー・セドゥツィオーネ |
| ジンギスカン | ラム肉とシラーは世界的な定番。羊のクセを果実とスパイスが包む | シラー・セドゥツィオーネ、ピニャテッロ |
| 焼き鳥(タレ、つくね、七味) | タレの甘さと七味のスパイスに、ミディアムボディのシラーが寄り添う | シラー・セドゥツィオーネ、モレッリーノ |
| 豚の味噌漬け焼き | 味噌の熟成したうま味と焦げの香ばしさが、熟成感のある赤と好相性 | レフォスコ、シラー・セドゥツィオーネ |
イメージと実際
「シラーは重いから和食には合わない」と思われがちですが、実際に合わないのは、刺身や白身魚の塩焼きのような繊細な料理と、アルコールの高いパワフルなシラーズの組み合わせです。タレ、味噌、すき焼きの割下のように、甘みと香ばしさのある和食は、むしろシラーの得意分野。ミディアムボディのイタリアのシラーなら、なおさら合わせやすくなります。反対に、激辛の麻婆豆腐のように唐辛子の辛さが強い料理は、アルコールの刺激が強調されやすいので、辛さ控えめで合わせるのがおすすめです。
家で飲むときの温度のコツ
造り手がすすめる飲み頃は16℃前後。日本の夏の室温(28〜30℃)のままだと、アルコールの刺激が前に出て果実味がぼやけます。夏場は冷蔵庫で20〜30分冷やしてから開けてください。冬の暖房の効いた部屋でも同じです。セラーがなくても、この「ちょっと冷やす」だけで、胡椒の香りがすっきり立ち上がります。開けてすぐより、グラスに注いで10分ほど待つと香りが開いてきます。
飲み残したら
コルクかストッパーで栓をして、冷蔵庫の野菜室へ。2〜3日はおいしく飲めますし、翌日のほうが果実とスパイスがまとまって感じられることもあります。飲へ30分ほど前に冷蔵庫から出しておきましょう。
選び方:好きな味から次の一本をたどる
シラーが好きな方、またはシラーが気になっている方へ。好みからこんなふうに選んでみてください。
- オーストラリアの濃いシラーズが好きなら → 熟した黒い果実と樽の甘い香りのドッピオ・パッソ・プリミティーヴォ(日本初・独占輸入)
- 北ローヌのエレガントな胡椒系が好きなら → シラー・セドゥツィオーネ、骨格を楽しむならランゲ・ネッビオーロ
- コート・ロティの華やかさに惹かれるなら → シラー・セドゥツィオーネとヴィオニエのモンテドニコを並べて
- シラー入りのブレンドを試したいなら → ナパ・ヴァレー・ボン・トン・レッド
- シチリアの濃い赤に興味があるなら → ネロ・ダーヴォラのバーリオ・ディ・セッラマッロッコ、ピニャテッロのサンマルチェッロ
- シラーは少し重いと感じたら → チェリーと酸のサンジョヴェーゼ、モレッリーノ・ディ・スカンサーノ
似た方向の品種はプリミティーヴォとはやサンジョヴェーゼとは、焼肉との合わせ方は焼肉・すき焼きに合う赤ワインの選び方もあわせてどうぞ。
シラーの価格帯と、ラベルの読み方
シラーは価格の幅が広い品種です。デイリーに楽しむなら2,000〜4,000円台、造り手や産地にこだわった一本なら4,000〜8,000円台が目安。北ローヌのエルミタージュやコート・ロティ、オーストラリアの「グランジ」のような銘柄になると、高級ワインの世界です。
- 「Syrah」か「Shiraz」か:エレガント系かパワフル系かのヒントになります。
- 産地の気候:胡椒の香りが好きなら冷涼な産地、果実味が好きなら温暖な産地。
- アルコール度数:13%台なら食事向きのバランス型、14.5%以上ならパワフル型が多いです。
- 「Petite Sirah」に注意:シラーではなくデュリフという別品種。より濃く、渋みが強いタイプです。
シラーは熟成させたほうがいい?
北ローヌの上質なシラーは、10年以上かけて熟成し、なめし革やスモークの香りが出てくることで知られています。一方、デイリーに楽しむシラーは、果実の新鮮さが魅力なので、数年のうちに開けるのがおすすめ。シラー・セドゥツィオーネのように収穫から数年たったものは、ちょうど果実とスパイスが落ち着いた頃合いで、すぐに楽しめます。
よくある質問
Q. シラーとシラーズは別のブドウですか?
A. いいえ、同じブドウです。フランスやイタリアでは「シラー」、オーストラリアや南アフリカでは「シラーズ」と呼びます。最近は、エレガント系に「Syrah」、熟した果実味のパワフル系に「Shiraz」と、名前でスタイルを伝える造り手も多くなっています。これがシラーで一番多い誤解です。
Q. シラーはイランのシラーズが起源ですか?
A. ロマンのある伝説ですが、1998年のDNA鑑定で否定されました。シラーはフランス南東部で、デュレザとモンドゥーズ・ブランシュの自然交配から生まれたと考えられています。
Q. プティット・シラーはシラーと同じですか?
A. 違います。カリフォルニアのプティット・シラーの大部分は「デュリフ」という品種で、シラーとペルーサンの交配から生まれた、いわばシラーの子どもです。シラーより色が濃く、渋みも強いのが特徴です。
Q. シラーは辛口ですか?
A. はい、ほぼすべて辛口です。果実味が豊かなので甘く感じることがありますが、糖分はほとんど残っていません。
Q. 黒胡椒の香りがわかりません。
A. 胡椒の香りのもと「ロタンドン」は、およそ20〜25%の人が感じにくいとされています。また温暖な産地のシラーズでは果実の香りに隠れがちです。冷涼な産地のシラーを、少し冷やして試してみてください。
Q. シラーに合う和食は?
A. 焼肉のタレ、鰻の蒲焼き、すき焼き、黒胡椒をきかせた唐揚げ、ジンギスカンなど、甘辛い味つけや胡椒、香ばしさのある料理がよく合います。Swirlならシラー・セドゥツィオーネが和食に合わせやすい一本です。
Q. デカンタは必要ですか?
A. 若くて濃いシラーズは、デカンタに移して空気に触れさせると香りが開きます。ミディアムボディのシラーなら必須ではなく、グラスに注いで10分ほど待つだけでも十分です。
同じシラーでも、名前と産地で驚くほど表情が変わります。まずは一本、甘辛いタレの料理と合わせて、そのスパイスの個性を楽しんでみてください。
参考:Bowers ほか、シラーの親品種に関するDNA研究(1998、UCデイヴィス/INRA)、Vouillamoz & Grando「Genealogy of wine grape cultivars: 'Pinot' is related to 'Syrah'」『Heredity』(2006)、Onetto ほか、シラーズのゲノム解読(2022)、Meredith ほか「The identity and parentage of the variety known in California as Petite Sirah」(1999)、Wood ほか、ロタンドンに関する研究(AWRI、2008)、WSET「What gives Syrah/Shiraz its peppery spice?」、Decanter「Syrah and Shiraz」、Côte-Rôtie AOC 規定、Bosco del Merlo「Syrah Seduzione」技術資料。










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